塩崎恭久厚生労働相は7日、閣議後の記者会見で、化学及血清療法研究所(化血研)が日本脳炎ワクチン「エンセバック」について、国の承認書と違う方法で製造していたとして報告命令の行政処分を行ったことに言及。「再び法律違反を繰り返し、報告命令を行うに至ったことは大変遺憾」とした上で、「今後の対応を厳しく見極め、さらなる処分も検討し、厳正に対処していく」との考えを示した。また、化血研が今回の事件発覚は厚労省の指摘ではなく、自主的に報告したとの認識を発表したことについて「厚労省の認識と大きくかけ離れている」と厳しく批判した。
厚労省は、化血研が「エンセバック」について国の承認書に定められたウイルス不活化処理を一部実施していない原料を使って製造していたとして報告命令を出し、弁明の機会を与えた上で、業務改善命令を出すことにしている。再び不正が発覚した今回の事態を化血研が報告せず、抜き打ち検査で発覚したことを重く見て、今後の対応次第で製造販売業許可の取り消し処分を下す可能性もあると警告した。
ところが、化血研は行政処分を受けた同日、「厚労省の立ち入り検査以前に、自主的に報告したものである」とホームページ上に反論を掲載。厚労省の弁明通知書について、「前提となる事実関係に一部誤認がある」との独自の認識を表明した。
不正製造を行っていたにもかかわらず、厚労省の指摘ではなく、自ら自主的に報告したとの言い分に対し、塩崎厚労相は「化血研は厚労省の事実認識が誤っているかのごときコメントを出しているが、これは厚労省の認識と大きくかけ離れたものであり、大変遺憾」と厳しく批判。「人の命を与る医薬品の一つでもあるワクチンであり、きちんと決められた方法で製造するのは基本中の基本。その基本を外す行為は決して許されない」と断じた。
厚労省は、塩崎厚労相の発言を受けて、正式に「厚労省の認識と大きく異なる」と発表し、化血研の独自の認識に対して強く反論した。