残薬問題の原因「患者の服用忘れ(漏れ)」が最多
QLifeは、調剤薬局に勤務している薬剤師300人を対象に「残薬問題」に対する現場の薬剤師の見方を調査した。残薬は、治療が狙い通りに進まないリスクだけでなく、「医療費のムダ」にもつながるため、最近はマスコミからも社会問題として指摘されることが増えている。残薬問題は、薬剤師が積極介入すれば年間数百億円~3000億円以上の残薬削減効果が期待できる(平成27年度厚生労働科学特別研究、益山光一『医療保険財政への残薬の影響とその解消方策に関する研究』より)と言われている。
調査の結果、残薬の原因として8割が「患者の服用忘れ(漏れ)」を挙げつつ、4人に1人以上が他の理由(全6要因)をも指摘する結果となり、残薬問題の多面性・複雑性がうかがえた。また医療者側の原因としては、よく言われる「複数の医師による重複処方」よりも「医師が必要以上の量・日数を処方」を問題視する人の方が多く、病院門前薬局では58%、全体でも47%を占めた。
画像はリリースより
「医師へのフィードバックや提案」「処方日数の短縮や分割調剤」などで貢献望む
また、こうした状況において「薬剤師が貢献できること」や「製薬会社が薬剤師を支援できること」を訊いたところ、昨今増えているブラウンバッグ(節薬バッグ)を製薬会社に提供してもらいたいなど、具体的な意見が多数寄せられた。一方で、医師への働きかけ、患者への聞き取りに薬剤師が苦慮している実情が多く語られ、製薬会社に対しては両者への啓発情報を発して欲しい旨の要望があった。
今回の結果について、東京理科大学薬学部臨床准教授の水八寿裕氏は「今回は残薬の直接的要因に絞った実態確認と、薬剤師がそこで果たすべきことは何か、という2本立ての調査になっているが、後者のアクションがまだまだ不足していると思う。特に高齢の患者さんは自己負担割合が低いこともあり意識が乏しい印象があるが、そこで薬剤師が貢献できる余地は大きい。また医師へのフィードバック方法にも変化が必要で、疑義照会・お薬手帳などを活用して残薬解消提案をスムーズにできるよう、患者の考えを最大限に尊重しながら医療機関との協議をもっと進めるべきだ」とコメントした。