2型免疫反応引き起こすIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害
仏国のサノフィと米国のRegeneron社は10月1日、コントロール不良の中等症から重症アトピー性皮膚炎の成人患者を対象とした治験薬「Dupixent(R)」(一般名:dupilumab)を評価する2つの第3相プラセボ対照試験「LIBERTY AD SOLO 1」および「SOLO 2」の詳細な結果が、「The New England Journal of Medicine」(NEJM)に発表されたことを公表した。
Dupixentは、アトピー性皮膚炎、喘息および鼻茸などのアトピー性またはアレルギー性疾患の主な原因とされている2型(タイプ2ヘルパーT細胞を含む)免疫反応を引き起こす2つの重要なサイトカインであるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。
同剤の生物学的製剤承認申請(BLA)は、米国食品医薬品局(FDA)に優先審査の対象として受理されており、審査終了目標日は2017年3月29日に設定されている。2014年、FDAはDupixentをコントロール不良の中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者に対するBreakthrough Therapy(画期的治療薬)に指定。また、欧州医薬品庁(EMA)とFDA は、同剤をdupilumabの商標として条件付きで承認している。
喘息、鼻茸、好酸球性食道炎を対象に臨床開発を進行
今回、結果が発表された2つの臨床試験では、アトピー性皮膚炎の程度および重症度に関する主要評価項目を達成。また、いずれの試験においても主な副次評価項目である、そう痒(かゆみ)スコアの低減、患者の不安・抑うつスコア、および一部のQOL評価スコアの改善が得られたとしている。
具体的には、16週目時点の皮膚病変の程度をIGA(Investigator’s Global Assessment、治験医師による包括的評価)スケールを用いた5段階で評価したところ、SOLO 1試験およびSOLO 2試験では、Dupixent 300mg毎週投与群において、それぞれ37%と36%の患者が、またDupixent 300mg隔週投与群において、それぞれ38%と36%の患者が、皮膚病変なし(IGAスコア0)、またはほぼなし(IGAスコア1)を達成。プラセボ群では、それぞれ10%と8.5%だった(p<0.0001)。この指標は、米国における試験の主要評価項目、EUにおける試験の主要評価項目の1つ。
現在、Dupixentは、アトピー性皮膚炎に加えて、喘息、鼻茸および好酸球性食道炎を対象に臨床開発が進められている。なお、同剤が承認された場合、Regeneron社とサノフィのスペシャルティケアグローバルビジネスユニットであるサノフィジェンザイムが、Dupixentの販売を行う予定。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース