年間180万人以上の肺がん患者の約2~7%でALK陽性
スイスのノバルティスは9月23日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性の進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者における「ジカディア(R)」(一般名:セリチニブ)の第3相臨床試験(ASCEND-4)で主要評価項目を達成したと発表した。
ジカディアは経口のALK阻害剤。ALKはNSCLCなどのがんにおいて、他の遺伝子と融合して特定の腫瘍の増殖を促進する異常な「融合タンパク質」を産生することがある。毎年肺がんと診断される180万人以上の患者のうち、約2~7%の症例でALK融合遺伝子が見られ、これらの患者はALK阻害剤による治療の対象になる。
同剤はこれまでに、世界55か国以上で承認されており、EUではクリゾチニブによる治療を受けたことのあるALK陽性進行性NSCLC成人患者の治療に対し条件付きで承認されている。また米国では、クリゾチニブによる治療後に疾患が進行したか、クリゾチニブ不耐容のALK陽性転移性NSCLC患者の治療薬として迅速承認されている。日本ではクリゾチニブに抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞がんを効能・効果として2016年3月に承認、同年5月に発売されている。
維持療法を含めた標準的な化学療法よりも無増悪生存期間を延長
今回結果が発表されたASCEND-4は、これまでに進行性疾患に対する治療を受けたことのないステージIIIBまたはIVのALK陽性NSCLC成人患者において、維持療法を含めた標準的な化学療法と比較して、ジカディアの安全性および有効性を評価する、第3相無作為化非盲検多施設共同グローバル臨床試験。
同試験は、世界31か国203施設で実施され、376例を無作為に割り付けた。患者にはジカディア750mgを1日1回経口投与、またはペメトレキセド維持療法を含め、標準的なペメトレキセドをベースとしたプラチナダブレット化学療法(ペメトレキセド500mg/m2とシスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5-6)を実施したという。
その結果、維持療法を含めた標準的な化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、主要評価項目を達成。PFSに加え、奏効率(ORR)および奏効期間(DoR)など、主要な副次的有効性評価項目全体にわたり、臨床的に意義のある結果を達成した。また、観察された有害事象は、これまでに知られている同剤の有害事象プロファイルと一致していたという。
なお、ノバルティスはこの適応症での承認申請の準備を世界的に進めているとし、詳細な有効性および安全性の結果と併せたASCEND-4データの完全分析結果は、近日行われる医学学会で発表される予定だ。
▼関連リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース