アポリポプロテイン(a)のエピトープに対する抗体の産生を誘導
アンジェスMG株式会社は10月5日、動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内における特許を取得したと発表した。
DNAワクチンは、たんぱく質の設計図であるDNAそのものを体内に導入し、目的の抗原を体内で作ることにより効果を発揮する。抗原が体内で作られると、生体は抗原を攻撃する分子(抗体)を作り出し、異物を排除する免疫反応が引き起こされる。DNAワクチンはこの作用を活用した治療薬。
今回の特許は、動脈硬化症の治療または予防を目的としたDNAワクチンに関する用途特許(特許第6001974号)。動脈硬化症に関わる因子と考えられているアポリポプロテイン(a)の特定部位(エピトープ)に対する抗体の産生を誘導し、動脈硬化症を治療する効果が期待されるもので、自己免疫反応による副作用のリスクを回避する特徴がある。
細胞性免疫による悪影響のリスクを抑えられる可能性
免疫には、特定の細胞が体内の異物を排除する細胞性免疫と、抗体が異物を攻撃する液性免疫の2種類があるが、通常、細胞内にウイルスなどが侵入すると、この細胞自体を排除する細胞性免疫が働く。一方で、生体内物質を標的としたDNAワクチンでは、細胞性免疫により生体内物質産生細胞自体を過度に攻撃することによる副作用の懸念が考えられる。
今回開発に成功したDNAワクチンでは細胞性免疫よりも液性免疫(抗体の産生)が優勢に誘導されるように構造上の工夫がなされている。そのため、細胞性免疫による悪影響のリスクを抑えられる可能性があるとしている。
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・アンジェスMG株式会社 ニュースリリース