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アレセンサ、ALK陽性非小細胞肺がんの一次治療でFDAが画期的治療薬指定-中外製薬

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2016年10月06日 PM01:00

腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導して抗腫瘍効果を発揮

中外製薬株式会社は10月4日、同社が創製した「アレセンサ(R)」(一般名:アレクチニブ塩酸塩)が、FDAよりALK陽性非小細胞肺がん患者の一次治療での使用について、(Breakthrough Therapy)に指定されたことを発表した。

アレセンサは、ALKへの選択性が高い経口のALK阻害剤。非小細胞肺がん患者では、2~5%にALK融合遺伝子の発現が報告されている。この融合遺伝子が発現している細胞は、恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており、細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられている。同剤は、このチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する。さらに、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門におけるトランスポーター蛋白に認識されない。このため、同剤は中枢神経系において活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されている。

国内では、アレセンサは「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として中外製薬が販売。米国では、2015年12月に「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性非小細胞肺がん」を効能・効果として承認された。また、欧州では2015年9月に、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の進行非小細胞肺がん」を効能・効果とした承認申請を行っている。

クリゾチニブに比べ、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長

今回の指定は、中外製薬が実施したアレセンサとクリゾチニブの有効性および安全性を比較した第3相非盲検ランダム化比較試験「J-ALEX試験」に基づいている。J-ALEX試験には207人のALK阻害剤未投与で化学療法未施行もしくは化学療法が1レジメン施行されたALK融合遺伝子陽性進行・再発非小細胞肺がん患者が登録された。同試験の主要評価項目は、独立効果判定委員会の判定による無増悪生存期間で、副次的評価項目は全生存期間、奏効率および安全性など。2016年2月、当初より計画されていたJ-ALEX試験の中間解析が行われ、その結果を独立データモニタリング委員会が検討、同委員会よりJ-ALEX試験の早期有効中止が勧告された。

同試験の結果、クリゾチニブ単独投与群に対するアレセンサ単独投与群の無増悪生存期間のハザード比は0.34であり、アレセンサ単独投与群で無増悪生存期間の統計学的に有意な延長が示された。無増悪生存期間中央値は、クリゾチニブ単独投与群では10.2か月で、アレセンサ単独投与群では中間解析時には到達しなかった。

アレセンサ単独投与群で30%以上の患者で発現した有害事象は便秘だった。一方、クリゾチニブ単独投与群では悪心、下痢、、視覚障害、味覚異常、、ALT上昇、およびAST上昇が認められた。グレード3~4の有害事象は、アレセンサ単独投与群では27%、クリゾチニブ単独投与群では51%で発現。いずれの群でも、治療関連死は認められなかったとしている。

中外製薬は、アレセンサを早期から患者の治療に使用できるよう、ロシュ社およびジェネンテック社とともに世界各国における製造販売承認取得に向けて取り組んでいきたいとしている。

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