「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として指定難病
ノバルティス ファーマ株式会社は9月28日、持続性ソマスタチンアナログ(Somatostatin analogues:SSA)製剤である「シグニフォー(R)LAR(R)筋注用キット20mg、同40mg、同60mg」(一般名:パシレオチドパモ酸塩徐放性製剤)について、先端巨大症および下垂体性巨人症の治療薬として、製造販売承認を取得した。
先端巨大症は、脳下垂体に発生する良性の腫瘍により、成長ホルモンおよびインスリン様成長因子(IGF-1)が過剰に分泌され、手足や内臓の肥大、先端巨大症様顔貌といった身体的変化がみられる希少な内分泌疾患。一方、下垂体性巨人症は、骨端軟骨線閉鎖前の成長ホルモン過剰分泌により、著しい身長増加が認められる。
いずれの疾患も、下垂体前葉から慢性的に成長ホルモンが過剰に分泌されるという点で同質の疾患であり、成長ホルモンの過剰分泌が長期にわたると、糖尿病、高血圧、心疾患などを引き起こすリスクがある。国内での有病者数は、先端巨大症が約1万1,000人、下垂体性巨人症が約400人で、年間発症数はそれぞれ約700人および約20人と推定されている。両疾患ともに、国内では「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として指定難病とされている。
第1世代SSAと比べ、より多くの患者で成長ホルモンとIGF-1をコントロール
シグニフォーは、ホルモンを過剰分泌する良性腫瘍で発現しているソマトスタチン受容体に結合、活性化することにより、ホルモン分泌を抑制するSSA製剤。2014年11月にEUで、手術で効果が不十分または施行が困難でかつ、第1世代SSAでは適切に管理できない先端巨大症の患者に対する治療薬として承認されたほか、同年12月には米国において手術で効果が不十分または施行が困難な先端巨大症の患者に対する治療薬として承認を取得している。
今回の承認にあたっては、手術が適応とならないまたは手術で効果が不十分な、薬物治療歴がない、あるいは第1世代SSAの薬物治療でコントロール不良な、先端巨大症や下垂体性巨人症の患者を対象とした国内外の臨床試験を実施。その結果、シグニフォーは第1世代SSAと比較し、より多くの患者で成長ホルモンとIGF-1のコントロールを達成し、さらに顕著な腫瘍体積の縮小、先端巨大症の臨床症状の改善傾向などを示したという。また、主な副作用は、高血糖、糖尿病、耐糖能障害、胆石症、下痢だった。
なお、同剤には、「医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること」との承認条件が付与されている。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース