多剤併用によるアドヒアランスの低下を防ぐため、配合点眼液の利用に期待
大塚製薬株式会社は9月28日、緑内障および高眼圧症治療を目的に開発してきた新しい配合点眼液である「ミケルナ(R)配合点眼液」の国内における製造販売承認を取得した。同剤は、有効性と安全性が確認された「カルテオロール塩酸塩」と、「ラタノプロスト」という作用機序が異なる2つの有効成分を配合した点眼液。カルテオロール塩酸塩の眼圧下降作用の持続化剤であるアルギン酸も配合しているという。
緑内障は不可逆性の視機能障害であり、現在のところエビデンスに基づく唯一の治療法は眼圧下降だ。カルテオロール塩酸塩は、大塚製薬が独自に創製した非選択性のβ遮断薬で、毛様体上皮における房水産生を抑制することで眼圧を下降させる。もうひとつの有効成分であるラタノプロストは、プロスタグランジン関連薬(PGF2α誘導体)であり、プロスタノイドFP受容体の活性化によるぶどう膜強膜からの房水流出を促進する作用を持ち、1日1回点眼という利便性の良さから、現在緑内障・高眼圧症治療薬として最も使用されている。
緑内障は原則として単剤から治療を開始するが、眼圧が十分に下降しない場合は作用機序の異なる複数の点眼液が併用される。しかし、多剤併用になると、点眼する間隔をあける必要があるなど、患者のアドヒアランスが低下。効率的な治療が期待できないため、治療効果をより確実とするための配合点眼液の利用が望まれていた。
千寿製薬との共同販促を実施予定
同剤の主な臨床試験として、原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者を対象にラタノプロスト対照比較試験とカルテオロール塩酸塩(ミケランLA点眼液2%)対照比較試験のフェーズ3試験を実施。その結果、同剤の眼圧下降作用は、各単剤(ラタノプロスト、カルテオロール塩酸塩)に対し優越性を示し、またラタノプロストとカルテオロール塩酸塩の併用療法と同程度だった。また、同剤の安全性に特段の問題はみられなかったという。
今回承認を取得した国内初のカルテオロール塩酸塩の配合剤となる同剤は、2成分を配合することで、利便性と治療効果の向上が期待されている。なお、同剤は、千寿製薬株式会社とコ・プロモーションする予定としている。
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・大塚製薬株式会社 ニュースリリース