日本薬剤師会は27日、10月1日から医療機関に隣接する薬局との間にフェンスなどを設置して独立性を確保するよう求めている規制が緩和されることを受け、見解を示した。保険薬局の指定に当たっては、厚生労働省が今年3月に示している留意事項通知を厳格に適用し、少しでも独立性に疑問がある場合は指定しないことを強く求めている。
厚労省は留意事項通知で、医療機関と一体的な構造に該当する事例として、▽医療機関の建物内にあり、医療機関の調剤所と同様と見られる▽医療機関の建物と専用通路等で接続されている――を挙げている。
これらの事例には当てはまらなくても、▽医療機関と同一敷地内に存在し、薬局の存在や出入口を公道等から容易に確認できない▽医療機関の休診日に公道等から薬局に行き来できなくなる▽実際には医療機関を受診した患者の来局しか想定できない――など、患者を含む一般人が薬局に自由に行き来できないような構造も一体的な構造と見なされるとの解釈を示した。
また、一体的な経営に当たらないことを確認するため、薬局に対して不動産の賃貸借関連書類等の経営に関する書類等の提出を求めることも明記された。
日薬の見解では、規制緩和に先立って、「複数の公的医療機関が敷地内に薬局を積極的に誘致しているとの情報が寄せられている」とし、「もしこうした動向が医療機関の経営上の観点から起きているならば、医薬分業の理念を損なうばかりでなく、医療機関としての矜持のほころびも懸念される」と強調。
医療機関による無秩序な敷地内への薬局の誘致は、厚労省が昨年10月に策定した「患者のための薬局ビジョン」の趣旨に「逆行するものと言わざるを得ない」と指摘し、保険薬局の指定に当たっては「留意事項通知が厳格に適用され、医薬分業の本旨が損なわれることのないよう強く要請する」とした。