原疾患を問わず使用可能な初めての生物学的製剤に
アッヴィ合同会社とエーザイ株式会社は9月28日、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ(R)」(一般名:アダリムマブ(遺伝子組換え))について、既存治療で効果不十分な非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎に関する効能・効果の承認を取得したと発表した。今回の承認取得により、同剤は非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎に対し、原疾患を問わず使用可能な初めての生物学的製剤になるとしている。
同剤は、アッヴィが製造販売し、エーザイが販売している。新たに承認を受けた非感染性ぶどう膜炎のほか、関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎に係る適応症については、アッヴィとエーザイが、消化器疾患領域の潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管型ベーチェット病に係る適応症については、アッヴィとエーザイからの委託を受けたEAファーマ株式会社が共同プロモーションを行っている。
非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎の患者で再燃のリスク低減
非感染性ぶどう膜炎は、眼の中間層であるぶどう膜の炎症を特徴とする疾患群で、視力の低下または失明につながる場合があり、予防可能な失明の原因のうち世界で3番目に多い疾病。しかし、非感染性ぶどう膜炎の診断および治療は複雑であり、治療に関して広く普及したガイドラインはない。
現在のところ、非感染性であることが確認されたぶどう膜炎の治療には、副腎皮質ステロイドが主に用いられるが、副腎皮質ステロイドはすべての患者に有効とは限らず、緑内障や白内障などの眼に関する重篤な長期副作用を伴う可能性がある。また、一部の患者では、原疾患のために副腎皮質ステロイドが使用できない場合がある。
ヒュミラは、ぶどう膜炎に関与している可能性があるとされている炎症の原因物質のひとつであるTNF-αを標的とし、これを阻害する。今回の承認は、2つのピボタルな第3相試験VISUAL-I、IIと継続投与試験VISUAL-IIIの結果に基づいたもの。これらの試験では、活動性または非活動性の非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎の患者に同剤を投与したところ、プラセボと比較して、再燃(ぶどう膜炎の再燃および視力低下の複合)のリスクが有意に低減したことが示された。同剤を投与した非感染性ぶどう膜炎の患者において、新たに特定された安全性のリスクはなかったとしている。
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・アッヴィ合同会社 プレスリリース