■国がんセ・慶大調査
バイアル単位で保険請求されている注射用抗癌剤の廃棄金額を薬価ベースで算出したところ、1年間で総額3億3862万円に上ることが、国立がん研究センター中央病院薬剤部と慶應義塾大学大学院経営管理研究科の調査で明らかになった。国のがん医療の拠点である同院における抗癌剤廃棄率は8.9%、廃棄金額が最も大きかったのはベバシズマブで約6000万円に達した。さらに、注射用シクロホスファミドについて単回使用バイアルの複数回使用(DVO)を実施した結果、3カ月で廃棄率が0.5%減少し、薬剤使用量等のコスト削減につながったことが分かった。
高額薬剤の問題が大きな議論となっている中、日本では抗癌剤の薬剤費請求が実際の使用量ではなく、バイアル単位で行われているため、廃棄分が医療費の無駄になっている可能性が指摘されてきた。こうした状況を受け、同院では注射用抗癌剤を調製した時の廃棄状況を調査すると共に、日本では導入されていないDVOを実施し、その運用方法や経済的効果を検証した。