BMIを介してアンドロイドを操作するメリットを証明
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は9月23日、アンドロイドを脳によって操作すると、体によって操作した場合と比べ、アンドロイドに対しより強く適応できることを発見したと発表した。この研究は、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として行ったもの。研究成果は、科学誌「Scientific Reports」に9月22日付で掲載されている。
画像はリリースより
研究グループはこれまで、アンドロイドが人の脳に及ぼす効果の検証と、この効果を用いて人の脳を効率的に制御する方法を探索してきた。すでに、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)を介してアンドロイドを操作する際、フィードバックの与え方を工夫することで、操作者の脳活動パターンをBMIの性能を引き上げる方向に変化させられることがわかっており、この効果が通常のロボットよりもアンドロイドを操作した場合に長く続くなど、アンドロイドをBMIで操作することで、人に強い作用を及ぼしうることが示唆されていた。
しかし、現状の技術ではBMIは性能が限定され、操作遅延も大きいため、リモコンや体を動かして操作する代替手段と比べた場合、健常者にとってBMIを使うメリットが明確でなかった。
BMI性能の向上や、脳による操作のメリットを活かした新分野の開拓へ
今回、研究グループは、アンドロイドを対象として、脳波によるBMIで操作した場合と体により操作した場合との比較実験を33人に行った。その際、体による操作にはモーションキャプチャ装置を用い、操作者の体の動きにあわせてアンドロイドが動くようにした。
一定時間の操作後、アンドロイドをどの程度自分の身体と感じたかの主観評価(アンケート)を行うとともに、客観評価としてアンドロイドへ刺激を加えた時の皮膚コンダクタンス反応を測定。その結果、主観評価、客観評価のいずれにおいても、体による操作と比べ、BMIを介して脳により操作した場合に、アンドロイドをより強く自分の体として感じられることがわかったとしている。
今回の研究の知見はアンドロイドに限らず、多様な機器の遠隔操作でも効果があると考えられる。また、BMI性能の向上や、脳による操作のメリットを活かした新しい応用分野の開拓に寄与することが期待されると、同社は述べている。
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・株式会社国際電気通信基礎技術研究所 プレスリリース