血糖をコントロールしつつ低血糖の発現率を下げる可能性
仏サノフィ社は9月13日、「Toujeo(R)」(一般名:インスリン グラルギン注射液300単位/mL)の投与を受けている成人2型糖尿病患者では、「ランタス(R)」(一般名:インスリン グラルギン注射液100単位/mL)を投与した患者に比べ、投与6か月後のいずれのHbA1c値においても、夜間および24時間の血糖値70mg/dL(3.9mmol/L)以下または重症低血糖の発現率の低下が認められたことを発表した。
この発表は、2型糖尿病患者を対象とした第3相臨床試験(EDITION1、2および3)のデータを用いて今回新たに行われたメタアナリシスの結果で、ドイツ・ミュンヘンで開催された第52回欧州糖尿病学会(EASD)にて報告された。
これに先立ち、血糖をコントロールしつつ低血糖の発現率を下げる可能性を示す初の実臨床エビデンスが、第76回米国糖尿病学会議(ADA2016)で発表されている。同発表では、既存の患者情報(Predictive Health Intelligence Environment(PHIE)データベース)より、実臨床において既存の基礎インスリン製剤からToujeoに切り替えた患者に関する情報を取得。その検討結果より、Toujeoの投与開始後6か月間でHbA1cが平均0.64%低下(p<0.0001)する一方で、低血糖の発現率は投与開始時の6.0%から、6か月の追跡期間中には5.1%に低下したという。
3件の大規模臨床試験で、実臨床での有益性を検討中
Toujeoは、広く用いられているインスリン グラルギンを有効成分とする1日1回投与の基礎インスリン製剤。同剤は、米国食品医薬品局(FDA)、欧州委員会(EC)、カナダ保健省、オーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA)では「Toujeo」のブランド名で、日本国内では厚生労働省が「ランタスXR」のブランド名で承認しており、他の国々においても現在、規制当局による審査中だ。
今回のメタアナリシスの所見と、実臨床患者データの予備的解析結果は、Toujeoが血糖コントロールを改善する一方で低血糖リスクを上げない可能性を示す内容であり、これらの所見を追認すべく、同社は広範にわたる実臨床プログラムを実施していく。
同社は現在、2型糖尿病患者におけるToujeoの実臨床での効果を検討する3件の大規模な無作為化臨床試験(ACHIEVE CONTROL試験、REACH CONTROL試験および REGAIN CONTROL試験)を実施中。Toujeoを用いた糖尿病治療戦略による有効性が評価され、その結果は糖尿病治療に携わる医療従事者らにとって重要な情報となるだろう、としている。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース