開会のあいさつでマーク・パリッシュIFPW代表は、「この会合では、効率的なデリバリーをいかにチャレンジしていくか追求していきたい。また、関係者が一堂に会しているので、ぜひ経験や意見交換をしてネットワークを築いてもらうことが、会議の内容と共に大事なことである」と会議の成果を上げられるよう求めた。
チェアマンのオルネラ・バラ氏は、「世界の医薬品卸、医薬品メーカー、小売全てがテクノロジーのインパクトを受けている。世界中で政治・経済が大きく変化しているが、これらはわれわれにとって非常に興味深い変化でもある。業界・市場の変化に対してIFPWが大きく貢献していくことができるだろう」と期待を寄せた。
冒頭のセッションでは、IMSのダグ・ロング、ペア・トレイン両氏が世界の業界動向について説明した。
それによると、医薬品の市場規模は1兆4000億ドルに達したが、ここ数年の9%成長から5~6%に鈍化した。これはC型肝炎治療薬がピークアウトしたことによる。英国では20年まで4~7%で成長するが、日独や中国、メキシコでは平均を下回り、新興国では平均を上回って成長することが予想されている。
医薬品の価格設定については、表示と正味で差が生じており、年々乖離が大きくなっている現状が報告された。これは、ペイヤー中間業者の力が強くなってディスカウントを強いている現状がある。欧州でもC型肝炎治療薬で市場は成長したが、価格設定は大きな問題になっている。欧州各国は予算規模、償還制度が個々で異なっているが、価値に対する価格が重視され始め、それは治療効果(生存年等)による評価であり、治験後の効果も重視されてきた。
ダグ氏は、「今は支払側が、リアルワールドエビデンスのデータを収集しており、今後、これをメーカーに示していくことになるが、この動きは市場を大きく変えるだろう。アウトカム、貢献度がどうなるのか注視している。適用別薬価に非常に関心がある。がんの治療効果、パフォーマンスが出た結果、価格に反映される」と、価格設定の変革が起きることを示唆した。
なお、ダグ氏は長年の功績が評価され、IFPWインターナショナル・リーダーシップ・アワードを受賞した。
日本からは渡辺紳二郎氏(アトル社長)、中北馨介氏(中北薬品社長)が登壇した。初日の「医薬品卸の社会的価値と会員企業のCSR」にパネリストとして出席し、先の熊本地震での経験を報告した。その上で渡辺氏は、「災害時にも安定供給することは、医薬品卸の世界共通の社会的責任だ。そのためには平時に準備をしておくことが大事である」と述べた。
社会的価値・責任としては、医薬品卸による紛争地での雇用促進やリサイクル等環境対策への取り組みなども報告された。