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抗がん剤「レンバチニブ」、欧州で進行性腎細胞がんに関する適応承認取得-エーザイ

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2016年09月20日 AM11:00

第2相試験でエベロリムスの併用投与の有効性と安全性を評価

エーザイ株式会社は9月15日、同社の欧州統括会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが新規抗がん剤「(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、(EC)より、「)を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応で承認を取得した。レンバチニブの腎細胞がんに係る適応においては、米国に続いて2番目の承認取得となる。

腎がんの罹患者数は、2012年において世界で約33万8,000人、欧州では約11万5,000人、米国では約5万8,000人、日本では約1万7,000人と推定されている。腎細胞がんは、腎臓におけるがんの90%以上を占めており、尿細管の細胞ががん化したもの。罹患率は50歳代後半以降に増加し、女性より男性に多く発症する。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準だが、5年生存率が低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い。

レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能な、同社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤。今回の承認は、血管内皮増殖因子を標的とした前治療歴を有する、切除不能な進行または転移性腎細胞がんの患者を対象とした、レンバチニブとエベロリムスの併用投与の有効性と安全性を評価した臨床第2相試験(205試験)の結果に基づくもの。

エベロリムス単剤投与群と比べ、無増悪生存期間を有意に延長

同試験の結果、レンバチニブ/エベロリムス併用投与群は、エベロリムス単剤投与群と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(併用投与群14.6か月(n=51)vs エベロリムス単剤群5.5か月(n=50)(中央値)、ハザード比0.40(95%信頼区間 = 0.24-0.68)、p=0.0005)。さらに、アップデート解析した全生存期間(OS)において、その中央値は、併用投与群で25.5か月、エベロリムス単剤投与群で15.4か月だった(ハザード比0.59(95%信頼区間 = 0.36-0.97))。

同試験の併用投与群において、高頻度に認められた有害事象は、下痢、食欲減退、疲労であり、グレード3以上(有害事象共通用語規準)の高頻度に認められた有害事象は、下痢、高血圧、疲労だったとしている。

なお、レンバチニブは、欧州での甲状腺がん(オーファンドラッグ指定)に係る適応においては「レンビマ(R)」の製品名で販売している。欧州(EU)における規制により、オーファンドラッグ指定のある適応症とその他の適応症を別製品名で販売することが義務付けられているため、オーファンドラッグ指定ではない腎細胞がんに係る適応においては「Kisplyx」の製品名で発売する。(横山香織)

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