■概算医療費は40兆円突破
厚生労働省は13日、2015年度の医療保険と公的負担医療分を合わせた概算医療費を公表した。前年度に比べて3.8%増の41兆4627億円と40兆円を突破した。特に調剤医療費(電算処理分)は、C型肝炎治療薬の抗ウイルス剤など化学療法剤の伸びが薬剤料を押し上げた結果、9.3%増の7兆8192億円と大幅に伸長し、8兆円に迫る勢いを見せた。厚労省は、「医療費の伸び率のうち、C型肝炎治療薬などの高額薬剤が1%程度影響した」と分析している。
医療費の内訳を見ると、入院が1.9%増の16.4兆円、入院外+調剤が5.4%増の22.1兆円となった。医療費の伸び率は、12年度以降2%前後で推移する傾向が続いていたものの、前年度比3.8%と高い伸びを示した。厚労省は、高齢化や人口減、受診延べ日数のプラス、高額薬剤の使用などが影響したとの見方を示している。
一方、調剤を全数で見ると、処方箋1枚当たりの調剤医療費が前年度比7.3%増の9560円、処方箋枚数は1.9%増の8億2372万枚となった。電算処理分の調剤費の内訳は、薬剤料が11.3%増の5兆9783億円、技術料が3.8%増加し1兆8283億円に達した。
技術料の内訳を見ると、調剤基本料が7.0%増の5336億円、調剤料が2.0%増の8425億円、加算料が2.6%増の1361億円となった。薬学管理料は3161億円だった。
薬剤料を詳しく見たところ、全体の約8割を占める内服薬は実数で11.9%増の4兆9762億円と5兆円に迫り、後発品は18.2%増の8502億円と続伸した。処方箋1枚当たりの調剤医療費は、7.3%増の9546円。技術料は1.4%増の2232円、薬剤料は9.2%増の7299円と大幅に伸長した。そのうち、内服薬の処方箋1枚当たり薬剤料の伸び率9.8%の要因を分析すると、1種類1日当たり薬剤料が8.6%と大きく伸びていることが影響していた。
内服薬の薬剤料の総額を薬効分類別に見ると、循環器官用薬が1兆1011億円と最も多かったが、C型肝炎治療薬「ソバルディ」、「ハーボニー」など高額薬剤の登場を背景に、抗ウイルス剤を含めた化学療法剤が4751億円と前年度に比べて約3000億円、249.1%増と約2.5倍の伸びを見せた。伸び率も化学療法剤が160.0%増と最も伸長した。腫瘍用薬も、その他の腫瘍用薬が19.7%増と大きく伸び、15.4%増の2821億円と二桁の伸びを示した。
また、後発品の割合は、昨年度末の数量ベースを新指標で見ると63.1%となった。昨年4月時点の58.8%から数量シェアが4.3%増加した。年度ごとの平均を見ると、数量ベースでは3.7%増と前年度に比べて伸び率は鈍化したものの、60.1%と6割を突破。薬剤料ベースでは0.8%増の14.2%、後発品調剤率は63.1%と続伸した。
後発品割合別に保険薬局数を見たところ、今年3月時点で数量シェア55%未満の薬局は27.4%と3割を切るまでに減少した一方、55%以上の薬局は72.6%と7割を突破。65%以上の薬局も54.2%と過半数を超えるなど、着実に後発品の使用が進んでいることがうかがえた。
薬効分類別の後発品割合を見ると、後発品のない先発品の割合が19.0%であり、いわゆる長期収載品は23.9%、後発品は36.0%となった。
さらに、後発品割合を地域別に見たところ、最も高かった市町村は、沖縄県島尻郡与那原町で84.6%と2年連続でトップ、次いで北海道砂川市と宮崎県児湯郡新富町の83.8%、岩手県九戸郡軽米町の83.6%、群馬県吾妻郡中之条町の82.6%、千葉県旭市の81.9%、岩手県久慈市の81.3%、長野県木曽郡木曽町の81.0%、島根県鹿足郡津和野町の80.3%、北海道赤平市の80.0%と、全国10町村が8割を突破した。