保険局医療課保健医療企画調査室長として2016年度診療報酬改定に携わった三浦氏は、今回の改定について、「地域包括ケアシステムという言葉が何度も出てくる。これを進めるのが1丁目1番地だった」と振り返ると共に、「地域住民の生活を含めて支えるということが強調されたのが特徴だと思う」と述べた。
その上で、かかりつけ薬剤師指導料などが新設された16年度調剤報酬改定について、「大きな改定だった」との認識を示し、かかりつけ医と連携しながら、副作用や効果の継続的な確認、多剤・重複投薬や相互作用の防止、一般用医薬品を含めた服薬情報の一元的・継続的な把握を行うなどのサービスを「一体的に地域住民に提供してもらいたい」と述べ、かかりつけ薬剤師・薬局としての役割に期待を寄せた。
特に、「患者のための薬局ビジョン」が、かかりつけ薬剤師・薬局に求めている24時間対応・在宅については、「これから迎える超高齢化社会を考えると、ぜひとも薬局に一肌脱いでもらいたい分野」と述べた。
一方で、薬局ビジョンのキーワードの一つになっている「対物業務から対人業務へ」について、「対人サービスを提供している職種だと思っていたので、驚愕した」との印象を語り、「厳しい表現になってはいるが、こういう時代に戻ってしまってはいけない」と釘を刺した。
また、「地域でより顔の見える存在になるためには、住民の健康維持・増進を図りつつ、困ったときの相談役になってもらうことで、地域包括ケアの一翼を担ってもらいたい」と強調。10月1日から都道府県への届出がスタートする健康サポート薬局機能について触れ、「国民の生活全体を支えるような仕事をしてもらいたい。それをしないと薬局の将来はない」と述べ、医療保険以外の部分のサービス提供に期待を寄せた。
討論ではフロアの参加者から、国によって、かかりつけ薬剤師・薬局、健康サポート薬局が進められている中、病院の敷地内に薬局を開設する“門内薬局”の動きが出てきていることを踏まえ、そうした薬局が、かかりつけ、健康サポートなどの「新たな機能を担うことができるのか」と疑問視する意見が出た。
三浦氏は、「門内薬局で、かかりつけ機能が果たせるのかどうかは、大型門前がかかりつけ薬局になれるのかどうかということとあまり変わらない」との認識を示し、門内薬局でも「(機能を)担えるところもあれば、担えないところもあるのでは」と述べた。