デング熱流行国に居住する4~16歳の健康な小児2万人で
武田薬品工業株式会社は9月8日、同社の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)の二重盲検、無作為化、プラセボ対照の臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)が、最初の被験者に対するワクチン接種をもって開始されたと発表した。
デング熱は蚊が媒介するウイルス性疾患で最も急速に感染が拡大している感染症。世界の人口の約4割がデングウイルスの脅威にさらされており、年間3億9000万人がデングウイルスに感染し、うち2万人以上が亡くなっている。
TAK-003は、4つのワクチンウイルス型全ての遺伝子型の基礎となる弱毒化された生の2型デングウイルス(DENV-2)バックボーンをベースに構築されている。今回のTIDES試験には、ラテンアメリカおよびアジアのデング熱流行国に居住する4~16歳の健康な小児約2万人を組み入れる予定。同試験では、TAK-003またはプラセボを90日の間隔をあけて2回接種。年齢やウイルス感染歴の有無を問わず、4つのデングウイルス血清型のいずれかによる症候性デング熱に対するTAK-003の有効性評価とともに、安全性および免疫原性についても評価する。
これまでに4つ全ての血清型に対する抗体反応・免疫反応を確認
TIDES試験は、TAK-003が症候性デング熱の予防に有効かどうかを確認するため、複数の年齢層を対象に4つ全てのデングウイルス血清型に対しTAK-003の忍容性、安全性および免疫原性を評価したこれまでの試験に基づき実施される。
同試験に先立って実施された臨床第1相および第2相試験では、さまざまな年齢層かつ安全性に対する懸念が見られないデングウイルス血清反応陽性および陰性の被験者において、TAK-003により4つ全てのデングウイルス血清型に対する中和抗体反応が誘発された。また、成人および小児を対象とした臨床第2相試験であるDEN-203試験の中間解析では、TAK-003は良好な安全性プロファイルおよび忍容性を示した。2回接種を受けた成人では、2年後も4つ全てのデングウイルス血清型に対して持続的な免疫反応を確認。さらに、小児を対象とした臨床第2相試験であるDEN-204試験の中間解析では、TAK-003は流行地域の小児集団において良好な安全性プロファイルを示すとともに、血清反応陽性および血清反応陰性の被験者両方において4つのデングウイルス血清型に対する抗体反応が認められ、免疫反応が180日間維持されることを示したとしている。
同社では、デングウイルスの感染歴の有無を問わず、小児・成人、旅行者や流行地域の住民など、あらゆる地域でデング熱の危険にさらされている人々を感染から守るために、今後もデング熱ワクチンの開発に取り組んでいくと述べている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース