日本薬剤師会の山本信夫会長は8日の定例会見で、大学病院や国立病院などが病院の敷地内に調剤薬局を開設する“敷地内薬局”の動きが拡大していることに対して、「極めて不愉快」と激しく非難した。
8月25日の定例会見では、石井甲一副会長が敷地内薬局について不快感を示したが、山本氏は「それを通り越して嫌悪感に近い。不愉快極まりない」との表現を用いた。
さらに、厚生労働省が、かかりつけ薬剤師・薬局推進の方針を掲げる中、厚労省の所管である国立病院で敷地内薬局誘致の動きがあることにも触れ、「目指す方向とは逆の動き。一体何を考えているのか。理解しにくい」と批判。
このまま、敷地内薬局が拡大していった場合、「いずれ建物の中に入ってくる」と述べ、最終的には“院内薬局”に発展する可能性にも懸念を示し、「神経質にならざるを得ない」とした。
敷地内薬局誘致の動きは、医療機関と薬局を同じ敷地内に併設することを禁じた構造上の規制見直しが10月から適用されることを受けて、徐々に広がりつつある。
誘致する病院側には、薬局からテナント料が入るため、関係する都道府県の薬剤師からは「患者の利便性を盾にした不動産収入が目的なのでは」といった声も上がっている。
また、院内処方の場合、処方箋料は内服薬6種類以下で42点、7種類以上で29点だが、院外処方は内服薬6種類以下で68点、7種類以上で40点と高い。負担額が違うのは、かかりつけ薬局としての機能を発揮するためだが、「かかりつけ機能を果たせない敷地内薬局は処方箋料を院内と同じにすべき」といった意見もある。