排便回数は有意に増加、鎮痛効果の減弱は認められず
塩野義製薬株式会社は9月8日、米国で開催された疼痛学会「PAINWeek 2016」において、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬「ナルデメジン」の長期安全性ならびに有効性に関するグローバル第3相臨床試験(COMPOSE III)で得られた良好な結果を公表したと発表した。
COMPOSE III試験では、非がん性慢性疼痛の治療のためにオピオイド鎮痛薬を服用中で、オピオイド誘発性便秘症(OIC)を呈している患者を対象に、ナルデメジン(経口剤0.2mg 1日1回)の長期安全性ならびに有効性を、プラセボを対照として52週間にわたり確認した。
その結果、ナルデメジンの忍容性はおおむね良好。発現率が5%以上でプラセボ群と比較して有意な差を認めた有害事象は、腹痛・下痢および嘔吐の消化器症状のみだった。また、オピオイド受容体拮抗薬であるナルデメジンの投与によっても、オピオイドの鎮痛効果の減弱は認められなかった。さらに、治療期の各時点における1週間当たりの排便回数のベースラインからの変化量は、プラセボ群と比較してナルデメジン投与群で有意に増加したとしている。
米国で新薬承認申請を提出、FDAの審査終了目標日は来年3月23日
OICは慢性疼痛をオピオイド鎮痛薬で治療中の患者の40~50%に発症すると言われているオピオイドの副作用。市販の緩下剤ではOICへの対応が十分でないケースもあり、OICの発症によってオピオイド鎮痛薬の投与中止が余儀なくされ、疼痛の管理が困難となる場合が少なからず見られる。
今回の良好な試験結果から、ナルデメジンがオピオイド鎮痛薬による副作用を緩和することで疼痛の管理に貢献し、患者のQOLの向上のための新たな選択肢となることが期待される。
なお、同社は2016年3月にナルデメジンの日本における製造販売承認申請ならびに米国における新薬承認申請を提出している。米国処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は、2017年3月23日となっている。
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・塩野義製薬株式会社 ニュースリリース