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心臓MRIを用いた頻脈誘発性心筋症の新しい治療効果予測指標を発見−国循

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2016年09月08日 PM01:30

TICとDCMの区別するために心臓MRIで両心室の収縮力を計測

国立循環器病研究センターは9月6日、心房細動を合併した心不全の病態の一種である「」の新しい治療効果予測指標を発見したと発表した。この研究は、同センター心臓血管内科の岡田厚医師らの心不全科・不整脈科合同研究チームによるもの。研究成果は、日本循環器学会の英文専門誌「Circulation Journal」オンライン版に8月23日付けで掲載されている。


画像はリリースより

心房細動の有病率は年々増加傾向にあるが、その一部に心房細動に伴う心拍上昇が原因となり、心筋の収縮がうまくいかずに心機能が低下する「頻脈誘発性心筋症」(TIC)がある。TICは、心房細動の治療により心機能が著しく改善するが、治療前にTICであると予測することは困難で、不整脈治療後に心機能が改善したことで初めて診断が確定する。特に、心機能低下を伴った心房細動の症例では、TICと特定難病に指定されている特発性拡張型心筋症(DCM)とは初期病状がよく似ており、一般的な検査でも鑑別が困難なため、初期段階でこの2つの病気を区別する有効な指標が求められていた。

心房細動患者に対する迅速な治療方針決定につながると期待

研究チームは、国循で2009年から2013年の間に心臓MRI検査を実施した患者のうち、心機能低下を伴う心房細動の102症例についてMRI撮影データと最終的な診断を解析。102例のうち55例は1年以内に症状が改善しTICと診断され、47例はDCMと診断されたもの。解析の結果、初診時のMRI検査で右心室機能が低下していた症例は、結果的にTICと診断される率が有意に高いことが明らかになったという。

右心室と左心室それぞれの収縮力(ポンプ能力)を比較する右室駆出率/(RVEF/LVEF)比が1.05未満の場合にTICと診断される割合が有意に高く、この指標(RVEF/LVEF<1.05)は90%以上の確率でTICを見分けられることがわかったという。

心臓MRIを用いたRVEF/LVEF比の算出によりTICの診断がより早期に高い精度で予測可能となったことから、心房細動患者に対する迅速な治療方針の決定と最適な医療の提供に有益な指標になると期待できる、と研究グループは述べている。

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