疾病対策部会では、難病患者への医療提供体制をめぐり、国や自治体が取り組むべき方向性を示した基本方針を昨年9月に示していた。基本方針では、より身近な医療機関で適切な医療を受けられるよう、疾病ごとの患者数や疾病のタイプなどを踏まえ、各地域の実情に応じたモデルケースを今年度をメドに検討することを求めていた。
厚労省は、この日の会議に示した骨子案で、目指すべき方向として、▽できる限り早期に正しい診断ができる体制▽診断後はより身近な医療機関で適切な医療を受けられる体制▽小児慢性特定疾病児童などの移行期医療に当たって、小児科と成人診療科が連携する体制▽遺伝子診断などの特殊な検査について倫理的な観点も踏まえつつ、幅広く実施できる体制▽地域で安心して療養しながら暮らしを続けていくことができるよう、治療と就労の両立を支援する体制――を示した。
早期の診断後に身近な医療機関で適切な医療を受けることができる体制の構築に向けて、一般病院などからの診断・治療が必要な患者の受け入れや、より患者に身近な医療機関への紹介ができる「都道府県難病診療連携拠点病院」と国立高度専門医療研究センターや学会、難病研究班、IRUD(未診断疾患イニシアチブ)、難病情報センターで構成する、都道府県の枠を超えた全国的な支援ネットワークの整備を進める。
支援ネットワークに求められる役割については、極めて希少な疾患の診断・治療等に関する連携拠点病院からの相談に対応することや、検査・診断が可能な医療機関がない都道府県の連携拠点病院に対して検査・診断が可能な医療機関の情報を提供することなどを明記した。
難病医療提供体制と小児医療機関との連携に向けては、小児慢性特定疾病児童等の移行期医療へ対応することや、難病患者の紹介基準を円滑に進めるための紹介基準やフォロー項目をまとめた内容を各疾病の診療ガイドラインに記載することなどを提案。
また、地域で安心して療養しながら暮らしていけるよう、就労と治療の両立を希望する難病患者を医学的な面から支援するため、関係機関と協力する体制を構築することも必要とした。
この日の会議では委員から、療養生活における福祉サービスの活用や、就労に限らず就学も支援すべきとの声や、就労を支援する産業医などに対する研修や啓発活動の実施、ネットワークにおける近隣都道府県間の連携も考えるべきなどの意見が上がった。
厚労省は意見を踏まえた上で、次回の委員会で報告書案として取りまとめ、今年度末をメドに難病の医療提供体制のあり方を通知し、2018年度からのスタートを目指す。