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制吐剤のエビデンス発信-薬剤師主導、世界初の成果

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2016年09月02日 AM10:00


■調製工夫で盲検化も実現

抗癌剤治療による吐き気や嘔吐の副作用を軽減する制吐剤「パロノセトロン」の有効性を検証するため、薬剤師主導で実施した多施設共同第III相試験「TRIPLE」の研究成果が、癌専門誌「Annals of Oncology」に掲載された。パロノセトロンは、既存薬より薬価が5倍程度高いにもかかわらず、標準的な3剤併用制吐療法に用いる科学的根拠が乏しかった。今回、抗癌剤の投与開始後、数日間続く吐き気や嘔吐を既存薬のグラニセトロンよりも軽減できることを世界で初めて証明し、薬剤師主導の臨床研究でエビデンスを発信する大きな成果を得た。事務局を担当したがん研有明病院薬剤部の鈴木賢一副薬剤部長は、「支持療法や副作用の研究は薬剤師が力を発揮できる部分。TRIPLE試験のネットワークを生かし、支持療法の質を高めていく研究などを引き続き進めていきたい」と意気込みを語る。

鈴木氏

肺癌や胃癌などの化学療法でよく用いられる「」レジメンは、ほとんどの患者に吐き気や嘔吐が見られる催吐性の高い治療法で、日本癌治療学会のガイドラインでは、副作用を予防するため、セロトニン受容体拮抗薬、ニューロキニン1受容体拮抗薬、デキサメタゾンの3剤併用療法が推奨されている。2010年には、セロトニン受容体拮抗薬の新薬として、長時間作用型のパロノセトロンが発売されたが、既存薬のグラニセトロンに比べて薬価が5倍程度高いにもかかわらず、臨床的に敢えて使用するだけのエビデンスは乏しかった。

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