■同時改定「エビデンス急務」
日本病院薬剤師会の木平健治会長は27日、千葉市内で講演し、2025年の地域包括ケアシステムの構築に向け、病院の機能分化により薬剤師の業務が多様化する中、「医療連携によるシームレスな薬物療法管理が不可欠」と強調。「地域包括ケアの要の一員となれるかどうかが大事」と訴えた。日病薬として、新たに「地域医療検討特別委員会」を設置したことを明らかにし、「どのように関与できるか真剣に考えていく必要がある」との考えを表明。さらに18年度の診療報酬・介護報酬同時改定に言及し、「エビデンスは待ったなし。今年の活動が大事になる」と積極的な研究発表を呼びかけた。
木平氏は、地域包括ケアシステムの構築に向け、病院の機能により薬剤師業務が加速度的に多様化していくとの見方を示し、日病薬の各委員会も機能による分類の重要性を強調。地域包括ケアシステムに対応するため、「地域医療検討特別委員会」を新設したことを明らかにし、各委員会の横連携を図ることで18年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に臨んでいく姿勢を示した。
多様化する業務への対応に当たっては裏づけとなる原資とエビデンスが必要と強調。特に18年度の同時改定に向け「エビデンスは待ったなし。今年の活動が大事になる」と訴え、医療の質向上や業務改善に資する研究論文の積極的な発表を求めた。
今後の医療の方向性についても言及。国の推計では11年に107万床の一般病床を25年には103万床に削減するとされているが、木平氏は「実際にはもっと減るのではないか」との見方を示し、「医療・介護を必要とする人口が増加する一方、病床数は削減される。地域包括ケアシステムに移行していく中で、医療連携によるシームレスな薬物療法管理を行っていくことが不可欠」とした。
実際、25年に目指すべき必要病床数は、高度急性期13.0万床、急性期40.1万床、回復期37.5万床などと示されているが、木平氏は「薬剤師のフィーがどうなるかは疑問符が付く」との見通しを示した上で、「医療連携により、地域包括ケアシステムの一員となれるかどうかが大事」と強調した。診療所のかかりつけ医や薬局のかかりつけ薬剤師との連携を例示し、「病院薬剤師として、どのような連携ができるか真剣に考えていく必要がある」との考えを述べ、地域におけるチーム医療への展開を訴えた。
その上で、木平氏は「ぜひ、それぞれの施設で新しい試みに取り組み、エビデンスを作っていくパイオニアになっていただきたい」と要請。一方で、「薬を取り巻くあらゆる変化に順応し、適正な薬物療法と患者支援に取り組む薬剤師を目指して頑張っていきたい」と決意を語った。