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埋め込み型医療機器のMRI適合試験の実施環境を整備-国循

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2016年08月31日 PM12:00

国内で安全試験の法制化なく、安全試験の実施体制も未整備

国立循環器病研究センターは8月29日、国循研究所画像診断医学部の飯田秀博部長とバイオビュー株式会社との共同研究チームが、埋め込み型医療機器のMRI()適合試験の実施環境の整備をしたと発表した。


画像はリリースより

近年、日本の医療機関におけるMRIの普及は目覚ましく、5,000台を超える装置が稼働しており、通常の検査のみならず人間ドックなどにも広く使用されている。画像撮影の際に使用する高周波信号は被写体にエネルギーを与え発熱させるが、条件によっては局所的に発熱が大きくなる。さらに、撮影の際に場所によって磁場の強度を変える()ことがあるが、急に傾斜を与えた場合は金属など導電性を有する物質内で電流が発生()する。これらの現象は撮影中のやけどなどの事故の一因となる。

一方で、ステントやコイル、クリップ、ペースメーカなどが留置されている患者がMRI検査を受ける機会が増加。一般の化粧品や衣類の繊維などにもさまざまな発色用金属が使用されており、これらのことから磁性や導電性をもつ材料がMRI検査の現場に存在する機会が増えている。米国ではインプラント医療機器(埋め込み型医療機器の総称)に対してMRI検査での安全性を確認するため、一定の基準で安全試験を実施することが義務付けられている。日本国内では安全試験の法制化はなされておらず、また安全試験の実施体制も未整備だが、安全性に対する関心は徐々に高まっている。

計測時間の大幅な短縮、渦電流を相殺する工夫も視野に

今回、飯田部長らの共同研究チームは、米国で実施されている基準をもとに試験項目と手順を整備。さらに、独自の計測機器を開発して、画像情報が多く診断能の高い3テスラMRI装置撮像時の安全性を確認する試験の実施環境を整備した。すでに、10件を超える新規医療機器の申請の際に添付するデータの提供を行っている。

日本以外では、米国とドイツで実施施設がある。ただし、日本では試験データの開示が求められる場合があるが、海外試験センターはこれには応じない立場をとっていると見られている。また、海外試験所からの結果報告書は英文のため、これを日本語に翻訳する必要もある。共同研究チームは、日本語で記載した試験データを依頼企業に提供しているとしている。

MRI検査中の事故を回避するために事前の安全評価を実施する体制を整備したのは国内では初めて。現在の体制では1試験あたり48時間を超える計測を必要とするため、今後は計測時間の大幅な短縮を目指す計測機器の開発を急ぐ一方で、MRI装置内で利用する際に発生する渦電流を相殺する工夫など、MRI撮像に影響を与えないようにする機構の開発も視野に入れていると、国循は述べている。

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