■「最適指針」整備に3億円
厚生労働省医薬・生活衛生局の2017年度予算概算要求は、前年度比13.2%増の102億4600万円を計上した。かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化に向け、新たに服薬指導や在宅対応など「患者のための薬局ビジョン」の取り組み状況を調査するほか、高額薬剤の対応として、革新的医薬品の最適使用の促進に向けたガイドラインを策定するための体制整備を盛り込んだ。また、化血研事件を踏まえ、国内製造所への抜き打ちによる立入検査などGMP査察体制を強化する経費も新規で計上した。
医薬・生活衛生局の概算要求は、「推進枠」を生かして大幅な増額を求めた。薬剤師関連では、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえたかかりつけ薬剤師・薬局の普及・機能強化に1億9300万円を要求。昨年度に引き続き、全国の薬局がかかりつけ薬局として地域包括ケアに貢献できるようテーマ別のモデル事業を充実させるほか、薬局ビジョンの進捗を管理するため、服薬指導や在宅対応など薬局の取り組み状況を調査する経費として新規で1800万円を計上した。全国の5000薬局を無作為に抽出し、調査結果を今後の施策に反映させる。
また、革新的な医薬品等の実用化促進には、推進枠を生かして16年度予算の4800万円から大幅増額の9億5300万円を要求。特に革新的医薬品の最適使用の推進に新規で3億2200万円を計上し、高額薬剤問題の対応に向け、検討中の最適使用推進ガイドラインを策定するための体制整備を行う。指針策定に専門的立場から参加する医薬品医療機器総合機構(PMDA)職員22人の増員分と指針作りを中心的に行う関連学会への委託費として計上した。
また、国の承認と異なる方法で血漿分画製剤を製造し、不正な製造記録を組織ぐるみで隠ぺいしてきた化血研事件を踏まえ、血漿分画製剤とワクチンを製造している全ての国内製造所への抜き打ちによる立入検査を1年に1回実施すると共に、海外製造所への立入検査を効果的に行えるようPMDA職員12人の増員分として新規で4億3700万円を要求。GMP査察体制の抜本的強化を図る。
そのほか、コンパニオン診断薬などの次世代体外診断用医薬品を迅速に実用化するための基盤整備に新規で2200万円を盛り込み、遺伝子検査に必要となる次世代体外診断医薬品に関する国内外の情報収集、分析を行うほか、医薬品副作用被害救済業務の体制強化に新規で3400万円を盛り込んだ。給付請求件数が増加していることに伴い、不支給決定への取り消し訴訟が増加していることや子宮頸癌ワクチンの健康被害者への医療手当の支給を開始したことなど、PMDAの給付業務が増加しているため、6人の人員増分を要求した。