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AD併存のiNPH手術の有用性と診療連携でコンセンサスを形成-J&J

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2016年08月26日 PM01:00

AD病理が中等度までの場合、シャント術の効果あり

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社は、5月20日に開かれた第57回日本神経学会学術大会および第36回日本脳神経外科コングレス総会を中継。(AD)を併存する特発性正常圧水頭症(Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus、)の診療コンセンサス形成を促進するきっかけづくりを目的とした共催セミナーを開催し、その概要とiNPH診療に関するアンケート結果を発表した。


画像はリリースより

iNPHとは、頭蓋内に過剰に髄液がたまり、脳が圧迫を受けて歩行障害、認知症、尿失禁などの症状が出る病気で、手術で改善が見込まれる認知症の原因疾患のひとつ。日本においてiNPHの疑いがある人は、少なくとも高齢者人口の1.1%程度とされており、2014年の高齢者人口をベースとすると36万人程度とも予想されている。また、日本における認知症の人の数は2015年の推計で517万人と65歳以上高齢者の約7人に1人、2025年には約700万人になると推計されているが、認知症の原因疾患の全体の約5%程度はiNPHによるものであるともいわれている。

iNPHはこれまで、手術効果を確認しづらい他の疾患、特にADを併存する患者に対して手術を実施すべきかについては、明確な指針がなかったが、今回のセミナーで、「AD病理が中等度までの場合は、シャント術の効果が期待できる」という見解が共有された。

アンケートでも、神経内科医、脳外科医ともに「併存例であっても早期であれば手術のメリットがある」の回答が約9割となり、シャント術の有用性に対する期待がうかがえる結果となった。診療科間の連携についても、コンセンサス形成が図られ、iNPH診療連携の初期における手術適応患者の選択、手術適応外のケースの診療科間フィードバック、家族へのインフォームドコンセント、脳神経外科医と神経内科医の術後の連携の4点がポイントに挙げられた。

遅延再生はiNPHとADの鑑別に有用

iNPH併存例診療では、iNPH群とAD群の比較において、WMS-Rの「」などの記憶に関するスコアが、AD群で有意に低いという報告もあり、遅延再生は、iNPHとADの鑑別に有用な指標といえることが示された。臨床現場で、ミニメンタルテストを実施した際に「」も確認すると、iNPHとADの鑑別能があがり、DESHが確認されているケースでは、遅延再認のスコアが悪い時に、ADの併存を疑うきっかけにもなるとしている。

iNPHは高齢者に多い疾患のため、神経変性疾患だけでなく心血管疾患を併存している場合が少なくない。術前の抗血栓薬服用薬管理についてiNPH診療上のガイドラインはないが、出血した場合の障害が大きいため、シャント術の患者は手術時出血高リスク群としてとらえる必要がある。

現時点ではシャント術の際は、ワルファリンなどの抗凝固薬についてはヘパリン置換することが推奨されるが、適切な休薬と再開が行われれば不要とする意見も最近は多くなっている。タップテストの際は、抗血小板剤1剤の服用であれば休薬の必要はないとする意見が多いが、抗凝固薬は休薬が望ましいという見解が共有された。

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