医師が思う以上に、患者の血糖値改善意欲は高い
サノフィ株式会社は、インスリン-ライフ・バランス(インスリン治療と日常生活の調和)の実現に向けて、医療ニーズを探るインターネット調査を実施。糖尿病患者712人、糖尿病治療に携わる医師221人、看護師110人を対象に患者と医療従事者の間で、インスリン治療についてどのような認識の違いがあるのか調査した。今調査は2015年に続いて2回目の実施となる。結果について、調査を監修した横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授の寺内康夫氏を招き、都内でメディアセミナーを開催した。
横浜市立大学大学院医学研究科
分子内分泌・糖尿病内科学教授 寺内康夫氏
患者の糖尿病に対する気持ちについて、「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、「低血糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0%と続き、血糖コントロール状況に関わらず、多くの患者が不安を抱えていた。また、血糖コントロールの良好・不良、年齢に関わらず、「血糖値を改善したい」患者は93.2%であるのに対し、医師が考える「血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は73.3%とギャップがあることがあきらかになった。「今回の調査で、医師が思う以上に患者の血糖値改善意欲は高い一方で、多くの患者が低血糖や合併症などに不安を抱えていることがわかった」(寺内氏)。
また、「患者が医師から説明してほしいこと」については、「新しい治療方法」が42.3%、次いで「新しい基礎インスリン製剤」が32.6%だったのに対し、実際に説明を受けた割合は、それぞれ20.4%、19.0%だった。
患者の糖尿病管理や治療に対する要望などを把握し、より良い治療へ
日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会の「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」によると、患者の年齢や認知機能、身体機能(ADL)、併存疾患なども考慮し、目標値を柔軟に設定するよう提案している。今回の調査結果を踏まえ、寺内氏は「患者はより良好な血糖コントロールを目指して、新しい治療法や薬に関する情報を求めている。医療従事者が患者のニーズを把握し、適切な情報提供をすることで、より良い治療へつながることを期待する」と締めくくった。