■薬局収入減少、経営に打撃
2016年度調剤報酬改定から約3カ月が経過した今年6月時点で、新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の施設基準を届け出ている薬局は53.9%に上ることが、薬事日報が全国保険薬局を対象に実施した16年度調剤報酬改定の影響調査で明らかになった。2段階の区分を一本化し、かかりつけ薬剤師指導料等の算定や在宅実績など施設基準の要件が厳格化された基準調剤加算(32点)については、改定前の3月時点では61%の薬局が算定していたが、改定後の6月時点では25%と大きく落ち込んでおり、改定後に薬局の収入が減少し、経営に影響があったと回答した薬局は6割に上った。また、「健康サポート薬局」の基準を届け出ると回答した薬局は20.9%と2割にとどまった。
調査は、都道府県が提供する「医療機関情報検索システム」(薬局検索システム)に掲載されている薬局5万7268軒のうち、無作為抽出した3000軒を対象に、改定3カ月後と改定前の状況比較を中心に郵送で依頼。7月中旬までに回答が得られた797軒について集計、分析を行った。回収率は26.7%。質問項目は、[1]店舗・業務環境など[2]薬学管理料の改定等[3]後発品への対応等――の大項目からなる。
大型門前薬局の評価を見直し、5段階に細分化された調剤基本料の区分について見ると、回答があった793軒のうち、基本料1(41点)が704軒(88.8%)と大半を占め、基本料2(25点)が41軒(5.2%)となった。新設された同一法人グループ内の処方箋の合計が月4万回超、かつ集中率95%超などに該当する基本料3(20点)は45軒(5.7%)、さらに基本料1で妥結率の低い基本料4(31点)が3軒(0.4%)、基本料5(19点)と6(15点)はゼロだった。昨年10月時点の薬事日報調査で基本料1(41点)は96.8%とほぼ全ての薬局で算定していた状況から見ると、基本料1の算定薬局が8ポイント減少しており、改定の影響がうかがえた。
改定の目玉となった「かかりつけ薬剤師指導料」(70点)に関して施設基準の届け出状況を聞いたところ、6月末の時点で「届け出済み」との回答が53.9%と半数以上に上った。かかりつけ薬剤師が1人以上いる薬局を尋ねたところ、84.9%が1人以上かかりつけ薬剤師を配置していることが分かった。
近く届け出る予定の薬局を合わせると、6割以上がかかりつけ薬剤師指導料を算定する状況が浮かび上がったが、「当面予定していない」薬局も36.6%に見られ、全体の4割程度がかかりつけ薬剤師指導料の算定を届け出る予定がない状況も判明した。
基準調剤加算について見ると、改定前の3月末時点では「加算1」(12点)と「加算2」(36点)を合わせ61.3%の薬局が算定していたが、6月末時点で32点の同加算を算定している薬局は25.0%と大幅に減少した。
そのうち、改定前に「加算1」を算定していた薬局の中で、改定後も同加算を算定できていたのは29.4%と約3割に満たないことが明らかになった。改定前に在宅業務の実績がある「加算2」を算定していた薬局のうち、改定後も同加算を算定できていたのは38.9%に過ぎず、これまで“かかりつけ機能”を果たしていたと見られる薬局でも、同加算を算定できていたのは4割にとどまるなど、要件厳格化の影響がうかがえた。実際、16年度改定による薬局収入への影響を聞いたところ、「減少した」との回答が60.1%に上った。
後発品調剤体制加算は、算定要件の数量シェアがそれぞれ「加算1」(18点)で65%以上、「加算2」(22点)で75%以上と10ポイントずつ引き上げられた結果、「加算1」を算定している薬局は改定前の26.3%から34.8%に増えた一方、「加算2」を算定している薬局は改定前の42.2%から24.9%に大きく減少。同加算を算定していない薬局も改定前31.5%から40.3%に増えていた。
一方、健康サポート薬局について見ると、10月1日に都道府県への届け出を予定していると回答した薬局は20.9%と2割程度にとどまったが、10月以降に届け出を予定していると回答した薬局も15.2%あり、これらを合わせると36.1%と全体の3割強が健康サポート薬局を届け出予定であることが分かった。