国立社会保障・人口問題研究所は5日、2014年度の社会保障費用統計をまとめた。医療、年金、福祉等の社会支出の総額は116兆8532億円で、前年度に比べて1兆4196億円増と1.2%上昇し、過去最高を更新した。一方、社会保障給付費の総額は前年比1.3%増の112兆1020億円と増加したが、対GDP比では22.90%にとどまり、2年連続で下落した。
社会保障給付費を「医療」「年金」「福祉その他」に分類し、部門別に見ると、「医療」は36兆3357億円で、前年度に比べて2.0%伸びた。医療費が総額に占める割合は32.4%となった。
「福祉その他」は21兆4234億円で前年比4.6%増、総額に占める割合は19.1%だった。そのうち、「福祉その他」に含まれる介護への給付は、9兆1896億円と4.6%増で伸びが大きかったが、「年金」は54兆3429億円と前年比0.5%減となり、総額に占める割合は48.5%となった。
一方、社会保障給付費の対GDP比は前年度から0.05%減の22.90%で、2年連続で下落した。
国民1人当たりの社会保障給付費は88万2100円で、前年から1.4%伸びた。また、1世帯当たりでは、前年度から0.6%増加し、219万4900円となった。
社会支出を政策分野に分類してみると、最も大きいのは「高齢」の54兆8747億円で、総額に占める割合は47.0%。次いで大きいのは「保健」の39兆5385億円、同33.8%で、これら二つの分野で支出総額の約8割を占め、社会支出の伸びを牽引している傾向は変わらなかった。
社会保険料や公費負担などの「社会保障財源」は、総額136兆5729億円で、前年度に比べて9兆2777億円増となった。他の収入でその他の収入が減少したものの、社会保険料と公費負担、他の収入などの試算収入が増加したことにより、7.3%の伸びに転じた。