カテーテル治療効果を非侵襲的に視覚的に認識する方法求められる
国立循環器病研究センターは8月5日、MRIを用いることにより不整脈に対するカテーテル治療の成果を視覚的に評価することに成功し、その技術を用いて多施設での臨床研究を開始したと発表した。この研究は、国循不整脈科の宮本康二医師、草野研吾部長、放射線科の森田佳明医師らの研究チームによるもの。研究成果は、科学誌「Journal of arrhythmia」に掲載された。
画像はリリースより
不整脈に対するカテーテル治療件数は年々増加しているものの、目で見ることのできない電気信号に対する治療であるため、その治療効果を視覚的に判定することは困難だった。
不整脈の一種である心房細動については、日本国内の推定患者数は約170万人といわれているが、高齢化に伴い患者数は増加すると考えられており、治療成績と安全性の向上は不可欠となる。そのため、心房細動に対するカテーテル治療の効果を非侵襲的に視覚的に認識する方法が求められている。
治療成績や安全性の向上に期待
研究チームは、造影剤を用いて病変部分を映し出す「遅延造影効果」を応用し、国循で心房細動に対するクライオバルーンによるカテーテルアブレーション治療(バルーン型のカテーテルに冷気を送り込み、電気信号の異常が起こっている部位を一括で冷却することによる治療方法)を実施した患者の心臓をMRIで撮影。その結果、アブレーションを行った肺静脈周囲に遅延造影効果を認め、治療効果を可視化することに成功した。また、同技術を用い、2015年12月に多施設での臨床研究を開始したとしている。
今回のMRIの遅延造影効果を利用した心房細動治療効果の可視化については、治療が完全に行えたかが一目でわかるため治療成績の向上につながり、また、医師の教育ツールとしても使用できるため、安全性の向上にも寄与すると期待される。今後は、心房細動に限らず他の不整脈に対しても同様に治療の結果を可視化させ、不整脈全体について治療の有効性・安全性を向上させることが課題になると、研究グループは述べている。
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・国立循環器病研究センター プレスリリース