「目利き」が厳選した有望ニーズを10件公開
日本医療研究開発機構(AMED)は8月4日、新たな医療機器の創出を目的として、医療関係者から寄せられた現場のニーズをものづくり企業に提供する会員登録制Webサイト「医療機器アイデアボックス」のリニューアルを発表した。
画像はリリースより
産業界では医療機器の開発に対する関心が高まっている。しかし、医療現場でどのような機器が求められているのか、ほとんどのものづくり企業は情報を得ることが困難だ。一方、医療現場でも「こんな医療機器があれば便利なのに」「こんな医療機器があればもっと良い診断・治療ができるのに」といった悩みを抱いている医療関係者が少なくない現状がある。
2015年度に経済産業省から医工連携事業化推進事業を引き継いだAMEDは、医療機器アイデアボックスの機能を強化し、課題解決につながる医療機器開発の加速化を目指している。医療機器アイデアボックスは2016年7月25日現在、医療関係者272人、コーディネーター360人、ものづくり企業966人を擁しており、会員登録することによって、医療関係者は医療現場のニーズ登録、コーディネーターとものづくり企業はニーズ閲覧が可能となる。2016年8月3日のサイトリニューアルに伴い、「目利き」が厳選した有望ニーズを10件公開した。
医工連携の促進、課題解決につながる医療機器開発に期待
従来の医療機器アイデアボックスになかった主な新しい機能としては、
(1)寄せられた医療ニーズに対してAMEDが患者数や既存の検査・治療法などの情報を付加
(2)AMEDが目利きした有望ニーズのみを公開
(3)有望ニーズは地域支援機関などのコーディネーターに対し、1か月間優先的に公開
(4)AMEDがコーディネーターあるいはものづくり企業とニーズ提供者を仲介
が挙げられている。
このうち(3)については、有望ニーズは臨床ニーズ抽出委員会(企業への橋渡し委員会)の約2か月後に医療機器アイデアボックスで公開。公開開始1か月間は、地域に密着しものづくり企業を熟知している地域支援機関などのコーディネーターのみが閲覧できる優先期間とする。地域支援機関とは、「医療機器開発支援ネットワーク」において、各地域におけるニーズ・シーズの発掘やマッチング機会の提供、企業、医療機関、大学・研究機関などに対する身近な相談窓口機能を担う機関で、各地域に所在する企業、大学・研究機関などの特色や強みを把握し、それらを最大限に引き出して支援を展開している。
サイトのリニューアルにより、これまで医療現場のニーズ情報へアクセスが難しかったコーディネーターやものづくり企業にとっては、医療機器の開発に必要なマーケット情報の収集が容易になる。医工連携が促進され、医療現場の課題解決につながる医療機器開発が加速することが期待されると、AMEDは述べている。
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