CD30陽性CTCL患者131人を対象として
武田薬品工業株式会社と米国のSeattle Genetics, Inc.は8月2日、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に対するアドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)の効果を検証した臨床第3相試験である「ALCANZA試験」において、主要評価項目を達成し、4か月以上にわたる持続的な客観的奏効率(ORR4)の統計学的に有意な改善を示したと発表した。同試験の抄録は、今年12月3~6日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される米国血液学会(ASH)の年次総会でのデータ発表に向けて、提出される予定。
アドセトリスは、CTCL患者の約50%において皮膚病変の腫瘍に発現するCD30を標的とした抗体薬物複合体(ADC)。現在、CTCL治療薬として承認されていない。CTCLの最も一般的な亜型であるMFについて、FDAから希少疾病用医薬品の指定を受けている。pcALCLやMFなどの亜型を含むCTCLについて、欧州委員会からも希少疾病用医薬品の指定を受けている。
ALCANZA試験は、FDAからの臨床試験計画評価(SPA)や欧州医薬品庁(EMA)からの科学的な助言を受けており、全身療法または放射線療法の前治療を受けたCD30陽性CTCL患者131人を対象に、アドセトリス単剤投与群と標準治療であるメトトレキサートあるいはベキサロテンを投与した対照群とを比較した。
2017年上期に生物学的製剤承認一部変更申請をFDAに提出
その結果、独立判定委員会による評価において、アドセトリス投与群は対照群と比較して、ORR4で統計学的に有意な改善を示し、主要評価項目を達成した(p<0.0001)。アドセトリス投与群におけるORR4は56.3%を示し、対照群では12.5%。完全寛解率、無増悪生存期間や治療中の症状の軽減を含む、プロトコールで規定されている重要な副次評価項目は、全てアドセトリス投与群で統計学的に有意に優れていた。同試験におけるアドセトリスの安全性プロファイルは全般的に既存の添付文書の情報と差はなかった。
武田薬品は、新しい効能が承認を受けた場合、CTCL患者にとって新たな治療オプションとなる可能性があると期待。シアトルジェネティクス社は、12月に行われるASH年次総会において、ALCANZA試験のより完全なデータの報告ができる見込みであり、2017年上期にはこの適応に関する生物学的製剤承認一部変更申請をFDAに提出する予定としている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース