■国保・後期分調査
福岡県はジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進に向け、GE薬の普及が進んでいない領域を明らかにするため薬剤別や市町村別の削減可能額について、県後期高齢者医療広域連合と県内市町村国民健康保険の医科・DPC・調剤のレセプトデータを用いて分析した結果を公表した。2014年度に県内で使用されている先発医薬品を全てGE薬に切り替えた場合、約231億6000万円(後期144億2100万円、国保87億4100万円)の薬剤費削減が可能なことが分かった。薬剤別の削減効果額を算出したのは全国でも初めてで、GE薬使用促進への新たな対応策としても注目される。
分析は、同県が九州大学(研究代表者:大学院医学研究員医療経営・管理学講座、馬場園明教授)に委託。削減可能額は「切り替え可能な先発医薬品の薬価」と「GE薬価」の差額に「先発医薬品の使用量」を乗算して算出。同一成分のGE薬で、複数薬価が存在する場合は最も高い薬価の製品で計算。分析は▽薬剤別▽自己負担割合、公費受給別▽レセプト種類別(医科外来、医科入院、DPC、調剤)▽被保険者居住市町村別▽薬効小分類別――でそれぞれ行い、各項目で数量ベースでのGE薬普及率も出した。
薬剤別では、外用薬、注射薬、内服薬について後期と国保でそれぞれ削減効果額上位30品目を算出。最も削減効果額が高かったのは外用薬ではケトプロフェン(5億30000万円・国保)、同(12億5200万円・後期)、注射剤はイオへキソール(9300万円・国保)、ヒアルロン酸ナトリウム(1億9800万円・後期)、内服薬はアトルバスタチンカルシウム水和物(2億2700万円・国保)、ドネペジル塩酸塩(8億3900万円・後期)となった。
レセプト種類別は、国保分では医科外来22億6500万円、医科入院3億2600万円、DPC3億7800万円、調剤57億7100万円だった。後期分では医科外来34億1100万円、医科入院6億3600万円、DPC5億0900万円、調剤98億6500万円だった。
今回の分析データは先月20日に開いた今年度第1回の県ジェネリック医薬品使用促進協議会の資料として示されたもの。同協議会では今後も同様のデータ分析を行う予定で、2015年以降のデータについては全国健康保険協会分も含めた分析を行う。データは関係者への情報提供や新たな対応策の検討などに活用していく考え。
なお、分析データ詳細は同県ホームページで公表されている。