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太っていなくても生活習慣病、骨格筋インスリン抵抗性が重要である可能性-順大

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2016年08月03日 PM12:00

日本人の非肥満者を対象として、インスリン抵抗性などを調査

順天堂大学は8月1日、日本をはじめアジア人に多い、太っていなくても生活習慣病(代謝異常)になる人の原因として、骨格筋の質の低下(インスリン抵抗性)が重要である可能性を明らかにしたと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大大学院医学研究科・代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史准教授、河盛隆造特任教授、綿田裕孝教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米国内分泌学会雑誌「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」オンライン版に7月6日付けで公開されている。

肥満者は、糖尿病やメタボリックシンドロームといった生活習慣病(代謝異常)になり易いことが知られており、肥満とこれらの代謝異常を結び付けるメカニズムとしてインスリン抵抗性の重要性が示されてきた。しかし、生活習慣病になるアジア人の多くは、非肥満(25kg/m2未満)であるため、 非肥満者におけるインスリン抵抗性の病態生理学的な重要性については、不明な点が多く残されていた。

また近年、非肥満者でも肝臓や骨格筋といったインスリンが作用する臓器に脂肪が蓄積すると(異所性脂肪:、脂肪筋)インスリン抵抗性が生じること、アジア人では痩せていても脂肪肝になりやすいことなどがわかってきたが、日本人におけるその詳細は不明だった。そこで今回の研究では、日本人の非肥満者を対象として、インスリン抵抗性と代謝異常、異所性脂肪蓄積の関連性などについて調査したという。

1つ以上の心血管代謝リスク因子で肥満MS群と同等のインスリン抵抗性

世界的にはBMIが25kg/m2未満であれば正常とされているが、アジア人においては23kg/m2を超えると、非肥満者であっても代謝異常が出現しやすくなることがわかっている。そこで、BMIが23~25kg/m2で心血管代謝リスク因子(、高血圧のいずれか)を持っていない者28名、1つ持っている者28名、2つ以上持っている者14名の計70名の日本人を対象に調査を実施。この他に、BMIが21~23kg/m2で心血管代謝リスク因子を持たない者24名(正常群)、(BMIが25~27.5kg/m2(国内基準))でメタボリックシンドロームを合併する者20名(肥満MS群)の測定も行った。また、肝臓及び骨格筋のインスリン抵抗性は、国内で初めて2-ステップ高インスリン正常血糖クランプ法という特殊な方法を導入し、精密に測定したという。

その結果、BMIが23~25kg/m2で心血管代謝リスク因子を持っていない人は、正常群と同等のインスリン感受性だったが、心血管代謝リスク因子を1つでも持っていると骨格筋のインスリン抵抗性を認め、そのレベルは肥満MS群と同等だった。一方、肝臓でのインスリン抵抗性には、そのような関係は認められなかったという。

また、どのような因子が骨格筋のインスリン抵抗性と関連しているかを調査したところ、従来肥満者で指摘されてきたように内臓脂肪が多いことや、血中アディポネクチン濃度が低いことに加えて、体力が低い、生活活動量が低い、脂肪摂取量が多いなどの生活習慣に関連した因子も挙げられた。さらに、脂肪肝と判定されないような肝脂肪の軽度蓄積や正常範囲内での肝機能検査の軽度上昇であっても、骨格筋インスリン抵抗性と有意に関連する因子であることが明らかになったという。

これらの結果により、太っていなくても代謝異常を来しやすい人では、減量の他にも生活習慣に特に注意を払う必要性が考えられる。運動に限れば、普段歩く量(生活活動量)を増やすと共に、ジョギングなど体力が向上するような取り組みをすることが勧められる。ただし、これらの因果関係の詳細は不明な部分もあるため、今後は介入研究を通した検証が必要だ。また、脂肪肝や今まで無視されてきたような軽度の肝機能異常は、骨格筋のインスリン抵抗性を知る簡便なマーカーとして有用と考えられ、今後、健康診断をはじめとした予防医学への活用も期待される。

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