抗HIV薬既治療成人患者に対するHIV感染症を適応として
ヤンセンファーマ株式会社は7月29日、抗HIV薬による治療経験がない成人患者およびダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療成人患者に対するHIV感染症を適応とした「ダルナビル/コビシスタット配合錠」の製造販売承認を申請した。
同剤は、HIVのプロテアーゼ阻害剤であるダルナビル(DRV)800mgおよび薬物動態学的増強因子(ブースター)のコビシスタット(COBI)150mgの2成分を固定用量で配合した製剤。プロテアーゼ阻害剤としては日本で初めてのCOBIとの配合剤となる。海外ではすでに欧州で2014年11月に「Rezolsta(R)」として、米国で2015年1月に「Prezcobix(R)」として承認されている。
厚生労働省の「平成27年エイズ発生動向年報」によると、日本国内における年間の新規HIV感染者および新規AIDS患者報告数は約1,500人で、2015年には累計で2万5,995人と報告されている。そのなかでも、新規HIV感染者は2007年以降年間1,000件以上を維持しており、新規AIDS患者は2006年以降年間400件以上となっている。
1日1回2錠の服用で患者負担の軽減に
DRV/COBI配合錠の成分であるDRVは、「プリジスタ錠(R)」および「プリジスタナイーブ錠(R)」として、日本ですでにHIV感染症治療薬として販売されている。DRV/COBIが承認済みの米国および欧州の抗HIV治療のガイドラインでは,DRV/COBIおよびヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)2剤の組み合わせは、抗レトロウイルス療法(ART)の初回治療の代替の組み合わせとして推奨されている。
長期にわたり多剤併用療法を行うHIV感染症治療では、患者の服薬アドヒアランスが重要で、服薬する錠剤数を減らし、服薬をより簡便にする配合剤は患者の服薬時の負担を軽減する。従来は、「プリジスタナイーブ錠」とブースターであるリトナビルにNRTIを併用し1日1回3錠の服用だったが、DRVとCOBIを1回1錠で投与可能な同剤を開発したことにより、1日1回2錠の服用となる。
同社は、HIV領域において、複数の治療オプションを提供することで、HIV感染患者とその家族の多様なニーズとQOL向上に引き続き貢献していきたいと述べている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース