厚生労働省医薬・生活衛生局の佐藤大作安全対策課長は25日、就任後初めて専門紙との共同会見に応じ、およそ20年ぶりに改訂される医療用医薬品の添付文書の記載要領について、「一定の経過期間が必要と感じている」と語り、現場の薬剤師や製薬企業などが混乱を来さないよう配慮する考えを示した。
添付文書の記載要領見直しは、厚労省の「薬害肝炎検証・検討委員会」の最終提言に盛り込まれた「添付文書の承認時における位置づけの見直し」を受けて進められた。
具体的には、「原則禁忌」「慎重投与」などの項目を廃止し、「禁忌」「特定の患者集団への投与」などの適切な項目へ記載するようにする。
また、「特定の患者集団への投与」に関しては、▽妊婦▽生殖可能な男女▽授乳婦▽小児等▽高齢者▽腎機能障害患者▽肝機能障害患者――等の項目に分けて記載することとしている。
厚労省は2016年度中に通知を発出し、19年4月以降に施行する予定だが、佐藤氏は、「一定の経過期間をとりながら、企業や薬剤師に混乱がないような形で新しい添付文書の運用を考えている」との認識を示した。
また、新たな添付文書について、「どういう患者に使うか、どういう条件で使うかという部分の曖昧さをできるだけ少なくしていくというのも一つのポイント」と語った。
医療機関のレセプトや電子カルテなどの病院情報システムからデータを集積する「医療情報データベース(MID-NET)」の運用については、「いかに有用かつ持続可能な仕組みにできるかが大きな課題」とした。
MID-NETは、18年度の本格運用に向け、利活用のルールと利用料を検討する二つのワーキンググループで議論を深め、最終報告書を取りまとめることになっているが、「将来的には、利用料で自立できるような運営が理想型だと思っている」との認識を示した。
また、企業が行っている製造販売後調査などが「実際に医療現場に足を運ぶなどして、コストと手間がかかっている」ことから、これらの業務にMID-NETを活用できるようになれば、「財政的、人的負担の軽減が期待できる」と語った。