移植適合性、移植前に確認するための検査法求められる
シスメックス株式会社と株式会社ヘリオスと大日本住友製薬株式会社は7月26日、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法を確立するための共同研究開発を開始したと発表した。
iPS細胞を用いた移植治療のうち、自家移植はすでに治療の実績があるが、患者本人由来の細胞からiPS細胞を作製し、その後iPS細胞を移植に適した細胞に分化誘導する必要があり、移植用の細胞の作製に時間を要することや、製造コストが高額となることなどが課題となっている。
一方、他家移植の場合は、ある一定の条件を満たしたドナー由来のiPS細胞(他家iPS細胞)をセルバンクなどにより管理し、標準化された工程で計画的に移植用の目的細胞の生産を行うことによって、品質が担保された移植用の細胞を必要なときに安定的かつ安価に供給することが可能になると考えられる。しかし、他家iPS細胞由来の細胞を治療に用いる他家移植の場合、移植後に免疫拒絶反応が生じることも想定されるため、免疫拒絶反応の有無を含めた移植適合性を、移植前に確認するための新たな検査法の開発が求められている。
他家細胞移植後の免疫抑制療法への反映に期待
ヘリオスと大日本住友製薬はこのほど、国内で共同開発する加齢黄斑変性などの眼疾患を対象とした他家iPS細胞由来のRPE細胞を含有する再生医療等製品の、移植前免疫反応検査に関して共同で研究開発を開始した。
ヘリオスと大日本住友製薬は、他家iPS細胞からRPE細胞を作製してシスメックスに提供し、シスメックスは、同社が保有するイメージングフローサイトメーターやタンパク質解析技術を用いて移植前免疫反応検査法の開発を行う。
この検査で得られた結果が、患者の移植後における免疫抑制剤の投与回数/投与量の最適化といった他家細胞移植後の免疫抑制療法に反映されることが期待されるとしている。
▼関連リンク
・シスメックス株式会社 ニュースリリース