弁護団「製薬企業は大々的なマーケティング活動で短期間での公費助成、定期接種を実現」
7月27日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種によって深刻な副反応被害を受けたとして、国およびグラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社に対して、損害賠償請求訴訟を東京、名古屋、大阪および福岡の各地裁に提訴したことを受けて、原告側のHPVワクチン薬害訴訟全国弁護団と、被告側のグラクソ・スミスクラインとMSDがそれぞれ声明を発表した。
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は声明で、今回の訴訟の目的を、
としている。そして、子宮頸がんは「原因ウイルスであるHPVに感染しても発症に至る確率は極めて低く、また、子宮頸がん検診によって、がんになる前の病変を発見し、負担の少ない治療で予防できる疾病」であり、「HPVワクチンは、子宮頸がんそのものを予防する効果は証明されていない」としている。
その上で、被告である、国ならびに製薬企業に対し、
としている。弁護団は裁判を通じ、被害者が接種前の健康を取り戻し、その未来が再び開かれるように裁判所そして社会に訴えかけるとともに、その法的責任に基づく必要かつ十分な救済策を実施することを要求している。
MSD「圧倒的な科学的エビデンスがあり、主張の内容に根拠はないと信じている」
これに対し、グラクソ・スミスクラインは26日に、MSDは27日に声明を発表。「サーバリックス」を製造・販売するグラクソ・スミスクラインは、
と、また「ガーダシル」を製造・販売するMSDは、
とする声明を発表している。
HPVワクチンの定期接種の対応については、厚生労働省による「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」が2013年6月に発出されて以来、「積極的な接種勧奨の一時差し控え」の状態が続いている。また、同省が発表した「副反応追跡調査結果」では、HPVワクチンの販売開始から2014年11月までに接種した約338万人のうち、副反応の疑いが報告されたのは2,584人、被接種者約338万人の0.08%、のべ接種回数約890万人の0.03%とされている。