歩道上で60分間歩行した場合を想定したリスク評価
名古屋工業大学は7月26日、東北大学サイバーサイエンスセンター、日本気象協会と共同で、熱中症リスク評価シミュレーション技術に気象予報データと経験から得られた数式を融合させたデータを組み込み、現実的な条件での熱中症リスク評価システムを開発したと発表した。
画像はリリースより
共同研究グループはこれまで、乳幼児や高齢者などの個人特性を考慮した熱中症リスク評価のための複合物理・システムバイオロジー統合シミュレーション技術を東北大学サイバーサイエンスセンターが有するスーパーコンピュータSX-ACEに効率的に実装、高速化。気象予報データと融合させることによる、個人特性を考慮した3時間後の熱中症のリスクを10分で評価する技術の開発に成功してきた。
今回、共同研究グループは、開発したシステムを、歩道(アスファルト)上で60分間の歩行をした場合を想定したリスク評価に応用した。具体的には、周辺の実際の気温・湿度の測定データに基づく推定値を用いて、成人男性および幼児の計算モデル実験を実施した。
高齢者や幼児の高リスク群と若者の感覚の違いを把握
その結果、外気温が約34℃の環境下で、幼児の体温上昇値は1.12℃、成人の値0.61℃に比べ、約2倍となった。また、60分間の総発汗量は成人体重の0.34%だったのに対し、幼児は体重の2.3%に達し、初期の脱水症状になるリスクを有することがわかった。
これは、成人と幼児の体形および生理的相違のみならず、歩道からの照り返しによる成人と幼児での周辺温度の相違によるもの。この手法を用いれば、ある特定の環境における将来のリスク評価が可能となり、熱中症高リスク群(高齢者、幼児など)と若者の感覚の違いなどを把握でき、周囲の気配りなどを促すのに利用することが期待される。
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・名古屋工業大学 プレスリリース