HORPは、「保険者の実施する保健事業での薬局活用」を目的にしたもの。保健事業は、▽頻回受診・多剤者対策▽前期高齢者訪問指導▽特定健診・保健指導――などで、薬局は[1]医療費適正化等指導[2]服薬不適正者に対する服薬適正化指導[3]未病リスク者(特定保健指導の対象外)に対する生活習慣変容指導――などを行い、保険者はそれによる患者の行動変容や医療費の変動をみていく。
秋田県で始動したHORPで初となる商業事例は、TDK健保の協力を得て、にかほ市(人口2.55万人)を中心に、由利本荘市(7.99万人)、羽後町(1.6万人)で実施しており、被保険者9821人、被扶養者1万0594人が対象となる。TDK健保は、被保険者本人へのヘルスケアは実施できているが、さらに被扶養者の対応を充実させたいとの考えから取り組んでいるという。
阪本氏は、「今回、指導の依頼があったのは36人で全員が服薬者。指導目的は、服薬の適正化、服薬効果増大のための生活習慣変容、医療費抑制のための行動変容。今回は特例的だが、全員が服薬者で現在通っている薬局(すべてHORPに加盟)での指導を実施している」と語った。対象者のプロファイルは、全員が被扶養者(女性)で、年齢は43~59歳(平均52.0歳)。主疾病は高血圧、高脂血症、糖尿病、痛風、不整脈、不眠症などとなっている。
現在の状況に関しては、「参加者が確定しつつある。確定した参加者の情報は、毎日取りまとめて健保ベンダーから当該薬局に伝達している。参加確定者に対して薬局が順次電話連絡を行い、訪問してもらう日時を決めている」とし、「今月18日時点での参加表明率は、承諾が10人(27.7%)、拒否が2人(5.6%)、連絡中が24人(66.7%)となっている。現時点での参加表明率は十分に高い数字だと思うが、恐らく今後もっと高まると思う」と述べた。
今後の業務の流れについては、「8月までには参加者が確定し、9月までには各薬局での参加者への指導(1回目)が終わるのではないか。それを受けて、2週間後、3カ月後、6カ月後の電話フォローがあり、それが来年3月頃まで。今年度末くらいには指導効果の検証がある程度出てくるのではないか」との期待を示した。
今後の展望としては、「他の健保にも案内をしている。関心を示していただく保険者も多く、個別訪問を行っているところ」と説明。さらに、「健保を増やすことに加え、指導内容のさらなる充実も必要。各健保のニーズに合った指導内容に工夫していく必要がある。多くの健保からいろいろな意見をいただいており、健保からのニーズを取り込むような形でさらに進化していきたい」と強調した。