日本人潰瘍性大腸炎患者を対象として
ヤンセンファーマ株式会社は7月22日、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「ゴリムマブ(遺伝子組み換え)」について、日本人潰瘍性大腸炎患者を対象とした国内第3相臨床試験(PURSUIT-J)を行い、主要評価項目を達成したと発表した。この結果は、7月7~9日に京都で行われた第4回Asian Organization for Crohn’s & Colitisで発表された。
潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができ、下血を伴う下痢や腹痛が特徴的な症状として知られる原因不明の疾患。症状の改善や消失(寛解)も認められるが、再発する場合も多く、寛解を維持するために継続的な内科治療が必要で、患者のQOLに影響を著しく与える。患者数は全世界に500万人以上、日本では17万人以上と推計される。
ゴリムマブは、米国のセントコア社(現Janssen Biotech, Inc.)が開発。日本では、2011年9月に関節リウマチ治療薬「シンポニー(R)皮下注50mgシリンジ」として承認された。海外では、関節リウマチ、関節症性乾癬、軸性脊椎関節炎、non-radiographic軸性脊椎関節炎、および潰瘍性大腸炎の治療薬として承認されている。
2016年4月に適応追加で承認申請
PURSUIT-J試験は、既存治療で効果が見られない中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者を対象に、ゴリムマブの維持効果および安全性の確認を目的として実施された。ゴリムマブによる寛解導入療法にて6週時に臨床効果が認められた患者に対し、二重盲検下で寛解維持療法を行った結果、主要評価項目である60週まで臨床効果が維持された患者の割合は、ゴリムマブ群56.3%に対し、プラセボ群19.4%だった。また、安全性の懸念は特に認められなかったとしている。
ヤンセンファーマは、同試験結果および過去に日本が参加した国際共同第2/3相臨床試験(PURSUIT試験)の結果をもとに、2016年4月、日本で中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持治療薬として、適応追加を目的に承認申請を行った。
同社は、ゴリムマブを潰瘍性大腸炎の新たな治療薬として適応追加することで、同疾患の患者とその家族の多様なニーズの充足とQOL向上に貢献していきたいと述べている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース