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ホタテの貝殻成分由来の除菌剤を開発-京大ら

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2016年07月25日 PM01:00

焼成カルシウムを主成分として

京都大学は7月21日、ホタテ貝殻の高温処理で得られた焼成カルシウムを主成分とする新たな除菌剤を開発したと発表した。研究は、同大学東南アジア研究所の西渕光昭教授、株式会社かわかみ、株式会社漬新との共同研究によるもの。研究成果は、9月26日から開催される日本防菌防黴学会第43回年次大会で発表される予定。


画像はリリースより

研究グループは、天然物由来で既存食品添加物であり、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールを使った除菌剤の弱点が顕著に認められない焼成カルシウムをベースとする同製剤が、肉類・魚介類の食材を生で喫食するために必用な非加熱殺菌に有用ではないかと考え、検討を開始した。ただし、焼成カルシウムは食品衛生法で加工助剤という用途に限定されるため、現状では同製剤を食品に直接使用することはできない。

共同研究の結果、焼成カルシウム溶液(主成分は水酸化カルシウム)に低濃度のエタノールと乳酸ナトリウムを追加すると、ノロウイルスを含む既知の食中毒原因微生物に対して強い殺菌作用があり、他の消毒剤に見られた弱点のない製剤が完成した。この成果は「キンコロスウォーター」として商品化されている。主に食品製造業の現場で厨房器具の除菌、手袋など汚染防止装備装着後の噴霧除菌、トイレ周りのノロウイルス対策用の目的で使用されている。

O157菌株が一菌体も検出されないレベルまで殺菌

今回、研究グループは、同製剤が生食用牛肉の殺菌に応用できるか否かを検討。O157の代表EDL933菌株の培養液を薄めた菌液に、牛もも肉を10分ほど浸し汚染させた。この肉塊を、同製剤中で殺菌処理する場合、高速洗浄や超音波処理のような物理的な殺菌処理を併用すると、殺菌効果が増強されることを発見した。さらに、途中で殺菌剤を新しいものへ入れ替えるステップを導入するなどの改善により、O157菌株が一菌体も検出されないレベルまで殺菌することに成功したとしている。

今回開発した除菌剤には、非加熱殺菌消毒が困難だとされている生食用の食肉や魚介類、およびワックスのきいた果実などの殺菌消毒へ応用できる可能性がある。同製剤を物理的な処理法と併用することにより殺菌効果を格段に強化でき、生食用食肉中に1菌体でも検出されてはならないとされる重要な病原菌である腸管出血性大腸菌(いわゆるO157)の殺菌に役立つことが報告されている。これまでの殺菌手法に比べ、生食用として取り出せる部分が多くなることが見込まれる、と研究グループは述べている。

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