実用化に向け、大量生産法の開発を行うため
デンカ株式会社の主要グループ会社であるデンカ生研株式会社は、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授から委託を受け開発を行ってきた、がん治療ウイルス製剤「G47Δ」の実用化に向けた大量生産法について、7月21日に初期製造設備の建設を決定したと発表した。
製造設備の竣工は2017年9月の予定だが、設備稼働時期は同製剤が厚生労働省から製造販売承認された後となる。製造設備建設は、新潟県からの補助金の対象となることが決定しているとしている。
G47Δは、藤堂教授が開発した第3世代のがん治療用遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)を用いた新しいコンセプトのがん治療薬。2009年より東京大学で膠芽腫を対象とした臨床研究を開始し、2013年からは前立腺がん、嗅神経芽細胞腫のそれぞれに対する臨床研究も開始。2015年より膠芽腫を対象とした臨床試験のフェーズ2が医師主導治験として行われている。2016年2月10日には再生医療等製品として先駆け審査指定制度の指定を受けている。
平均余命、診断から1年程度と治癒難しく
デンカは経営計画「Denka100」の成長戦略のひとつとして「成長ドライバーへの資源集中と次世代製品開発」を掲げており、なかでも成長ドライバーである「健康」分野ではデンカ生研が重要な役割を担っている。G47Δはがんのウイルス療法という新しい分野を開拓する画期的な治療薬として期待されており、デンカグループは一日も早い実用化を通じて医療の発展と人類の健康の増進に寄与していきたいとしている。
なお、膠芽腫は悪性脳腫瘍の一種で、現在の治療法では平均余命が診断から1年程度で治癒は極めて困難とされており、手術後に再発した場合は有効な治療手段がほとんどない。
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