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【在宅薬学会】閉鎖危機から地域薬局に転身-在宅医療への参画が原動力

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2016年07月22日 AM10:30


■在宅薬学会で報告

一時閉鎖を計画していた薬局が在宅医療に参画して閉鎖をまぬがれ、地域密着型薬局へと転身を果たした実例が17、18日、大阪市内で開かれた日本在宅薬学会学術大会のシンポジウムで、タカコーポレーション十二所薬局(鎌倉市)の小川亮子氏から報告された。門前の病院が一時閉院となり、薬局も一時閉鎖の危機に追い込まれたが、近隣にできた高齢者施設の在宅医療を引き受けたことをきっかけに薬局は存続した。今では売上の4割を在宅医療が占めるまでになったという。

十二所薬局は、以前は典型的な門前薬局だった。新病院に建て替えるため2011年5月に門前の病院が一時的に閉院することになり、併せて薬局も一時的に閉鎖する方針が固まった。しかし、複数の患者から「他の病院に転院してもここでお薬をもらうからね」などと言われたこともあって、小川氏はできれば閉鎖せずに存続したいと考えていた。

そんな時、近隣にグループホームが新設される計画を耳にした。グループホームの地主でもあった薬局の大家を通じて入居者の在宅医療に関わることが決定。薬局の存続が実現した。

グループホームでは医師の訪問診療に同行し、カンファレンスにも加わった。そのうち、処方決定時に医師がわずらわしく思っていることが分かってきたという。それを踏まえてまずは、▽薬の規格や用法・用量の決定▽専門外の薬剤の認識▽他院処方の薬品名や相互作用の把握▽剤形や投与経路の変更▽患者や介護者への薬の説明――などに関わることから開始した。

今では処方提案も担うようになり、理学療法士が在宅医療現場でバイタルサインをチェックしているのを見て、薬剤師として薬の効果や副作用を把握するためにその技術も身に付けた。

在宅医療において薬剤師は役立つとの実感を得て、近隣に有料老人ホームが建設されると聞けば営業に出向いた。現在は3施設、個人宅を合わせて約80人の在宅患者を受け持つまでになった。

地域密着薬局として存在感が増し、門前病院の集中率は6割強に低下した。年に数回、地域住民に対する講演を依頼されるなど「外に出て仕事をするようになると、いろいろなところから声がかかるようになった」と小川氏は語った。

このほかシンポジウムでは田崎恵玲奈氏(薬心堂)が減薬に関わった症例を紹介した。患者は77歳の独居女性。来局するたびに認知能力の低下が認められたため田崎氏は、気になる患者として心にとどめていた。ある時、服装の乱れなど症状がさらに進行していたことから、医師に提案し自宅訪問を開始した。

その結果、複数の診療科から計18種類が投薬されていたが、ひとまず14種類に減薬された。

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