プラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法と比較
英アストラゼネカ社は7月18日、国際第3相AURA3臨床試験において、「タグリッソ」(一般名:オシメルチニブ)が標準的なプラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法との比較において優れた無増悪生存期間(PFS)を示し、主要評価項目を達成したと発表した。
タグリッソは、局所進行または転移EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者の治療を適応とする世界初の医薬品。不可逆的EGFR阻害剤で、T790M耐性変異を標的として、耐性メカニズムと闘うよう設計されている。
AURA3無作為化試験は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)によるファーストライン治療後に病勢進行したEGFR T790M変異陽性、局所進行あるいは転移NSCLC患者419例が対象。タグリッソ80mg1日1回投与の有効性・安全性を、プラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法と比較検討している。米国、カナダ、中国、日本、韓国、台湾およびオーストラリアの施設を含む世界130を超える施設おいて実施された。
同剤は、PFSに加えて客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)および奏効期間(DoR)においても化学療法に比べ臨床的に有意義な改善を達成。全生存期間(OS)の解析を含むAURA3データの詳細解析は現在実施中で、その結果は医学学会にて発表する予定としている。
臨床試験開始から承認までわずか2.5年強
タグリッソは、臨床試験開始から承認までわずか2.5年強という過去最速の開発プログラムによって導入された。すでに米国、EU、日本、カナダ、スイス、イスラエルならびにメキシコにおいてEGFR T790M変異陽性進行NSCLC患者に対する世界初の治療薬として承認されており、直近では、韓国でも同じ適応症で承認された。タグリッソによる治療の適応は、腫瘍にEGFR T790M変異が存在しているかを確認することにより決定される。
NSCLC患者のうちEGFR変異陽性の患者は、欧米で10~15%、アジアでは30~40%を占め、腫瘍細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR-TKIによる治療に非常に高い感受性を示す。しかし、腫瘍細胞はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行する。既承認のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブあるいはエルロチニブによる治療を受けている患者の約3分の2において、二次変異であるT790Mによりこの薬剤耐性が発生するといわれている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース