静岡県立大学薬学部は、1916年に静岡女子薬学校として設立され、3人の学生でスタートした。45年には静岡女子薬学専門学校、52年には静岡県立薬学専門学校、53年には静岡県立静岡薬科大学として開学。その後、大学院薬学研究科修士課程、大学院薬学研究科博士課程、製薬学科などの設置を経て、06年には6年制薬学教育導入に伴い薬学部薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)に改組。研究面でも創薬探索センター、薬食研究推進センターを立ち上げるなど、特色ある薬学研究・教育を実践し、これまで8000人以上の卒業生を社会に輩出してきた。
記念式典で式辞を述べた賀川義之薬学部長は、「本学は県民に支援された大学であり、地域に立脚した大学である」と強調。国公立大学薬学部の一員として、創薬研究や海外の大学との交流など、グローバルな展開にも注力してきたとし、「今後も地域に立脚した医療、地域産業への貢献に加え、画期的な新薬の創製など地球規模での貢献といった、ローカルとグローバルを車の両輪として進めながら、卓越した人材を輩出していきたい」と決意を新たにした。
あいさつに立った鬼頭宏学長は、チーム医療の重要性を強調した上で、「今後の薬学教育を考えると、県の総合病院、がんセンター、大学など外部機関と連携を密にしていくことが求められており、これまでの100年と違った新しい薬学部、新しい力を持った卒業生を送り出していく義務を負っている」と述べ、より良い薬学教育の実践へ協力を要請した。
来賓の川勝平太静岡県知事は、「創立100周年は県にとって喜ばしいこと。県の健康寿命を支える優れた研究をしていただいてきたことに感謝したい。新しい知見を得つつ、100年の伝統をさらに飛躍的に世界へ羽ばたかせてほしい」と祝辞を述べた。このほか、文部科学省の松尾泰樹大臣官房審議官、厚生労働省の森和彦大臣官房審議官、全国薬科大学長・薬学部長会議の西島正弘会長、日本薬学会の太田茂会頭、日本薬剤師会の山本信夫会長からも祝辞が述べられた。
また、記念式典では第1回の静薬学友会賞を受賞した鈴木康夫氏(受賞題目:インフルエンザ制圧に寄与する糖鎖薬学的研究と活動)、山本敏博氏(医療・福祉経営における薬剤師の貢献の基盤づくり)、村松郁延氏(受容体の表現型薬理学に関する研究および新薬開発への応用)、坂下光明氏(新規高コレステロール血症治療薬の開発―HMG-CoA還元酵素阻害剤ピタバスタチンの創生)の4人の表彰も行われた。