第67回日本東洋医学会学術総会で発表
漢方薬処方の裾野が広がるにつれて、薬局が漢方エキス製剤の服薬指導に当たる機会は年々増加傾向にある。そうしたなかで石川県金沢市の映寿会みらい病院薬剤部の吉田恵里氏らは、同院薬剤部や近隣薬局へのアンケート調査から、薬剤師による漢方エキス製剤の服薬指導にばらつきが多いことを第67回日本東洋医学会学術総会で発表した。
アンケートは同院漢方外来担当医の協力のもと質問項目を作成、同院薬剤部を含む薬剤師116名を対象に行った。
漢方エキス製剤の服用方法の説明について全体の結果では「水で服用するよう指導」が18%、「方剤によって水で服用するよう指導」が8%、「お湯で服用するよう指導」が11%、「方剤によってお湯で服用するよう指導」が21%、「お湯に溶かして服用するよう指導」が21%、「特に説明していない」が17%、「その他」が4%だった。
これを調査に参加した施設別で見ると、同院薬剤部では「方剤によってお湯で服用するよう指導」が5割弱で最も多く、ドラッグストアAでは「方剤によってお湯で服用するよう指導」、「お湯に溶かして服用するよう指導」、「特に説明していない」がそれぞれ3割弱、ドラッグストアBでは「方剤によってお湯で服用するよう指導」が3割強、「水で服用するよう指導」、「特に説明していない」がそれぞれ2割弱、保険調剤薬局Cでは「水で服用するよう指導」と「方剤によってお湯で服用するよう指導」がともに2割強で最多であり、施設や薬剤師によって説明が異なる実態が浮かび上がった。
副作用の説明有無や参考にしている情報源についてもばらつきが
副作用に関する説明は、全体では「初期症状について説明している」が44%、「説明していない」が26%、「必要に応じて」が7%などで、これも施設別でばらつきが見られ、最多は同院薬剤部では「必要に応じて」が4割、ドラッグストアA、B、保険調剤薬局Cではいずれも「初期症状について説明している」が最多でそれぞれ7割超、6割弱、4割強。ただ、「説明していない」は同院薬剤部が1割に対し、ドラッグストアBと保険調剤薬局Cでは「説明していない」がそれぞれ2割強、3割強だった。
また、服薬指導に際して参考にしている資料については、全体では最多が「添付文書」で42%、次いで「書籍」が23%。この他には「メーカーが作成しているもの」が13%、「MRからの情報提供」が7%、「インターネットで入手したもの」が5%など。
これを施設別で見ると、同院薬剤部では「添付文書」、「MRからの情報提供」がそれぞれ3割弱で、「書籍」が4割強のみだったが、ドラッグストアAでは最多が「書籍」の4割弱、次いで「メーカーが作成しているもの」が3割弱、ドラッグストアBでは最多が「添付文書」の4割、次いで「書籍」3割弱、保険調剤薬局Cでは「添付文書」が5割弱、次に多かったのが「書籍」の2割弱。いずれの施設も概ね「添付文書」と「書籍」が中心だったが、その割合は施設によって大きく異なっていた。
こうしたことから吉田氏らは、患者指導用の共通パンフレットなどの作成により、服薬指導のバラツキの解消につながる可能性があると結論付けている。
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