副作用に注意が必要な生薬として甘草、附子、大黄、麻黄を設定
漢方薬は医療用のみならず一般用医薬品(OTC医薬品)としても販売されているが、OTC医薬品の場合、医薬品名から漢方薬や生薬を含んでいるか判断できないケースも存在する。このため医療用漢方製剤との重複投与や生薬そのものの持つ副作用などが見逃されやすい危険性が指摘されている。
こうしたなか横浜薬科大学漢方薬学科漢方治療学研究室の飯田有紀氏らは、日本OTC医薬品協会が発行する「OTC医薬品事典」に掲載されているOTC医薬品2,659品目のうち、副作用に注意が必要な生薬が含まれながら医薬品名に漢方薬名や生薬名の記載がないものが401品目もあるとの調査結果を、6月に香川県高松市で開催された第67回日本東洋医学会学術総会で発表した。
調査では副作用に注意が必要な生薬として甘草、附子、大黄、麻黄の4種類と設定した。甘草は血圧上昇や浮腫の副作用がある。また、附子は動悸、口や舌の痺れ、呼吸困難、大黄は下痢・腹痛・食欲不振、麻黄は動悸、血圧上昇などの心血管系などの副作用があることが知られている。
甘草含有が最多で279品目
2,659品目のうち漢方薬は全体の19%に当たる512品目、漢方薬以外に生薬をふくむOTC医薬品は全体の26%の692品目だった。
漢方薬は512品目のうち、医薬品名に漢方薬名を含まず前述の生薬4種類を含むものは192品目、漢方薬以外に生薬を含むOTC医薬品692品目中、前述の生薬4種類を含むものは209品目で、合計401品目が医薬品名から漢方薬や生薬を含むことが判断できず、なおかつ副作用に注意が必要なものと分類された。
この401品目を生薬別に分類すると、甘草含有が最多で279品目。以下多い順に甘草+麻黄含有が49品目、大黄含有が24品目、甘草+大黄含有が18品目、甘草+大黄+麻黄含有が12品目、附子含有が10品目、麻黄含有が5品目、甘草+附子含有が4品目となっていた。
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