薬剤を極めて小さな粒子で包み込み、細胞内に高い効率で導入
アンジェスMG株式会社は7月13日、大阪大学と新たなドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System、DDS)技術に関する共同研究契約を締結したと発表した。
DDSとは、必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術。共同研究の対象となる新規DDS技術は、薬剤を極めて小さな粒子で包み込むことで細胞内に高い効率で導入できる特徴があり、特にがんや炎症など疾患部位へ効率よく送達されることが示唆されている。
新規DDSは、カルシウム、炭酸、リン酸からできた無機構造物で、血中で安定なイオン体として存在し炎症部位・細胞に効果的に浸透する。これにより内包した遺伝子医薬の効果を効率よく発揮させることができるという。
「キメラデコイ」の炎症性疾患向けの治療薬へ応用
アンジェスMGは、このDDS技術の開発者のひとりである大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻分子病理学の山本浩文教授と共同で、新規DDSの実用化に向けた適応症の検討と最適な製剤の開発を目的とした研究を行う。NF-κBとSTAT6という2つの転写因子をターゲットとする次世代デコイ「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたことから、まずはこのキメラデコイの炎症性疾患向けの治療薬への応用を検討するとしている。
同社が位置づける、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンら遺伝子医薬は一般に、特定の狙った細胞内において、従来の低分子医薬とは異なる新たなメカニズムで効果を発揮する反面、低分子医薬に比べサイズが大きいため細胞内に入りにくいという課題がある。このため、DDSの開発は遺伝子医薬の実用化において極めて重要であり、同社は今回の新規DDS技術をはじめさまざまなDDSの比較・検討を進めていくとしている。
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・アンジェスMG株式会社 ニュースリリース